相手のモチベーションを下げずに、ネガティブなフィードバックを伝える3つのポイントとは?
仕事での評価面談であったり、先生から学生への指導であったりで、良い面を褒めてあげることも大切ですが、悪い面をしっかりとフィードバックしてあげることも大切です。悪い面を改善することでより成長していけるわけですね、
しかし、このようなネガティブなフィードバックには問題もあって
- ネガティブなフィードバックは内発的なモチベーションを低下してしまう
ということが言われています。例えば、一生懸命頑張った仕事にダメ出しをされたら、「せっかく頑張ったのに・・・」とモチベーションが低下してしまいますよね。
そこで本稿では、
- モチベーションを低下させないネガティブなフィードバックの伝え方
についてまとめてくれたテキサス州立大学らの研究(*1)を見ていきましょう。
ネガティブなフィードバックとモチベーション
テキサス州立大学らの研究(*1)では、過去に行われたフィードバックに関する研究72件を集めてメタ分析でまとめてくれています。
この研究が調べたポイントとしては、
- ネガティブなフィードバックはどれだけ内発的モチベーションを低下させてしまうのか?
- ネガティブなフィードバックの伝え方によってモチベーションの低下に違いはあるのか?
となっています。
結果1:どれだけモチベーションが低下する?
最初に72研の先行研究の結果を総合したときに、ネガティブなフィードバックがどれだけモチベーションに影響したのかを分析していて
- ネガティブなフィードバックは、ポジティブなフィードバックをした場合と比べると確かに内発的モチベーションが大きく低下してしまっていた
- ネガティブなフィードバックは、中立的なフィードバックをした場合とフィードバックを全くしなかった場合と比べると、モチベーションの低下効果はなかった
という結果が得られています。
ポジティブなフィードバックにはもともと相手の自信を高めて内発的モチベーションを向上させる効果があるので、それと比べるとネガティブなフィードバックは不利なようです。しかし、ネガティブなフィードバックの効果はフィードバック無しの場合と変わらないということで、そこまでガックシ下がることはないのかもしれませんね。
結果2:どんな伝え方がいいのか?
次にどんなフィードバックの伝え方がいいのかを分析していて、3つのポイントが判明しています。
- ①具体的にどうやって改善するのかの説明があること
仕事のフィードバックでもざっくりと「そんなんじゃダメだと」と言われると、その先どうすればいいのかが分からずにモチベーションが低下してしまいます。なので、具体的に「ここが問題で、それに対してこんなやり方もできるんじゃないかな」みたいな感じで、進むべき道がわかるようにしてあげるとモチベーションを保ったまま前に進めるようになるということです。
- ②客観的な基準に基づいている
具体的なデータを用いるなど、客観的で納得できる基準に基づいて間違いを指摘すると、モチベーションの低下が減らすことができます。やってはいけないのは相対的な比較で、「他の人と比べてここがダメだよ」みたいな基準の曖昧なフィードバックはモチベーションを下げてしまうということです。
- ③直接伝えること
最後のポイントは、ネガティブなフィードバックは面と向かって直接話すということです。メールなどのツールを使わない方がいいということですね。フィードバックする側からすると、言いにくいことを指摘するので、直接話をするのはハードルが高いこともあるかもしれませんが、それが相手のためにもなると考えると良いのではないでしょうか。
ということで、ネガティブなフィードバックは
- 直接会って、客観的な基準で悪い面を指摘して、具体的にどう改善するのかを提案する
のが秘訣ということですね。
まとめ
本稿では「モチベーションを低下させないネガティブなフィードバックの伝え方」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- ネガティブなフィードバックは、ポジティブなフィードバックと比べると、内発的なモチベーションを低下させてしまう
- ネガティブなフィーバックの伝え方の3つのポイントは
①直接話すこと
②客観的な基準に基づいていること
③具体的な改善方法を話すこと
ということです。
モチベーションを高めるにはポジティブなフィードバックで十分ですが、相手を成長させるにはネガティブなフィードバックが必要不可欠です。今回の研究で分かった3つのポイントは結構使い勝手が良さそうなので、ネガティブなフィードバックをするときには試してみてください。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : A Meta-Analysis of Negative Feedback on Intrinsic Motivation