ゲーミフィケーションはどれだけ学習に効果があるのか?
ゲーミフィケーションとは、普通にやるとつまらない仕事や勉強などにゲームの要素を加えて、もっと楽しめるようにするテクニックです。
例えば、週に10時間勉強したらバッジをもらえるようにしたり、一人でやるのでなくみんなで競争してみたり、完了までにかかる時間を記録してベストタイムを目指してみたりとかいう感じですね。
それで、ゲーミフィケーションをすると、タスクがより面白くなるので、モチベーションが向上したり、タスクのパフォーマンスが向上したりと、良い効果が期待できるわけです。
そこで、本稿で注目するの
- ゲーミフィケーションで学習の成果はどれだけ向上するのか?
を調べてくれたミュンヘン大学の研究(*1)です。
学校の生徒がなかなか宿題をやらないように、学習とは多くの人にとってめんどくさいものですが、ゲーミフィケーションでどれだけ学習の成果が上がっていくのかを見ていきましょう。
ゲーミフィケーションと学習
この研究では38件の先行研究をメタ分析でまとめて、ゲーミフィケーションがどれだけ学習に効果があるのかの効果量を算出してくれています。
ここでこの研究では学習の効果を次の3つに分けて分析してくれています。
- モチベーションの向上効果
学習へのやる気の向上、学習が好きという気持ちの向上、あるいは学習への自信や自己効力感の向上といったモチベーション面に対するゲーミフィケーションの効果 - 知識の学習の向上効果
原理や原則、考え方、事実、方法、戦略などの知識の向上に対するゲーミフィケーションの効果 - 行動の学習の向上効果
テクニカルなスキルや運動能力など特定のタスクを上手くこなすスキルの向上
そしてゲーミフィケーションの方法ももちろん学習効果に影響すると考えられるので、
- フィクションを取り入れているか?
(タスクを楽しくする物語がある、ゲームのようにキャラクターを作れるなど) - ゲーミフィケーションの期間はどのくらいか?
- 他の人との競争や協力はあるか?
といったことも分析の対象として取り上げてくれています。
結果:学習効果は向上するのか?
それで結果がどうだったのかというと、まず3つの学習効果に対しては
- ゲーミフィケーションでモチベーションが向上していた(効果量g=0.36)
- ゲーミフィケーションで知識の学習が向上していた(効果量g=0.49)
- ゲーミフィケーションで行動の学習が向上していた(効果量g=0.25)
ということ。
なので結論としては、ゲーミフィケーションは学習に効果有りということです。ただし、効果量を見ればわかるように、ゲーミフィケーションの効果はそれほど大きなものではないようです。まあ、マイナスの効果もないみたいですし、学習効果が少し向上して学習も楽しくなるのであれば、ゲーミフィケーションはやったほうがお得そうですね。
結果:どんなゲーミフィケーションが良いのか?
それで、この研究ではどのようなゲーミフィケーションが特に効果が高かったのかも分析してくれています。その結果としては
- フィクションを取り入れたゲーミフィケーションは、行動の学習の向上の効果が高かった
- 他の人との競争と協力を両方取り入れたゲーミフィケーションも、行動の学習効果が高かった
ということ。
フィクションを取り入れるとは、物語を取り入れたり、ゲームのキャラクターを取り入れたりすることです。例えば、勉強で難問にぶち当たったときに、それをドラクエの中ボスだと思ってみたりとかすると面白いかもしれないですね。
他の人との競争を協力を取り入れたほうが良いということでは、チームで協力して他のチームと競争するようなゲーミフィケーションにすると、行動の学習効果は特に向上するということです。例えば学校の授業なら、グループ分けしてグループで協力して課題に取り組んでもらうのも良いでしょう。
まとめ
本稿では「ゲーミフィケーションの学習への効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- ゲーミフィケーションは、学習へのモチベーション、知識の学習、行動の学習の3つを少し向上してくれる
- 特に、フィクションを取り入れたり、他人との競争と協力を取り入れると、行動の学習効果が向上する
ということですね。
物事の見方が少し変わるだけでも、それが楽しくなったり、逆にストレスになってしまったりするものです。学習もゲーミフィケーションでゲーム化すればずっと楽しくなると思うので、是非試してみてください。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]