筋トレ中のフィードバックでパフォーマンスは向上するのか?
筋トレは一人でするよりも、トレーナーがついていたり、一緒にトレーニングをする仲間がいた方がパフォーマンスが向上することがあります。これは、トレーナーがフォームのフィードバックをくれたり、一緒にトレーニングをしている友達が「もう一回!」みたいな応援の言葉をかけてくれるため、もっと頑張ろうというモチベーションが高まるわけですね。
そこで、このフィードバックの効果について調べてくれたのがオーストラリアカトリック大学の研究で、
- どんなフィードバックが筋トレのパフォーマンスを向上させるのか?
を実験していましたので、本稿ではこの研究の中身を見ていきましょう。
フィードバックと筋トレのパフォーマンス
この研究ではラグビー選手12名を対象に、4つのパターンで筋トレをしてもらっています。
- フィードバックなし
何のフィードバックも無しで筋トレをする - 技術的な言葉のフィードバック
筋トレ中に近くにいる研究者から、一回一回の動作速度が言葉でフィードバックされる - 技術的な視覚のフィードバック
目の前のiPadに筋トレの動作速度がリアルタイムに表示される - 応援の言葉のフィードバック
1回1回の動作のたびに「レッツゴー!」とか「グッジョブ!」みたいな応援が研究者からかけられる
実施する筋トレの種目はスクワットで、重量は10回程度に合わされています。そして、筋トレのパフォーマンスとしても動作速度が使われていて、各フィードバックで動作速度がどれだけ向上するのかが測定されています。
結果:フィードバックと筋トレのパフォーマンス
実験の結果がどうなったのかというと、
- どの形式のフィードバックであっても、筋トレの動作速度は向上した
(平均すると6.6%のパフォーマンスアップ) - どの形式のフィードバックでも効果は同じくらいの大きさで、特に差はなかった
ということ。やはりフィードバックは筋トレのパフォーマンスを向上するということですが、フィードバックの方法自体は何でも良いみたいです。
ちなみに6.6%のパフォーマンスアップは過去の研究と比べても大きめの値となっているということ。なぜ今回の研究で大きな効果が得られたのかというと、スクワットという全身の筋肉を使う種目を採用したからではないかと考えられています。
結果2:誠実性とフィードバックの効果
この研究では筋トレをする人の誠実性の高さによって、フィードバックの影響力が変わるのかも分析しています。誠実性とは「真面目でコツコツと続ける忍耐力がある性格」のことで、誠実性が高い人はトレーニングにも真面目に取り組むということです。逆に誠実性が低い人とは、トレーニングのモチベーションが続かないような人なので、フィードバックは特に誠実性が低い人に有効だと考えられるわけですね。
そして、実際の実験結果を見てみると、
- フィードバックは誠実性が低い人の方が効果が高い傾向があった
- 特に応援系のフィードバックは誠実性が低い人に効果があった
ということ。
なので、誠実性が低くてトレーニングのモチベーションが続かない人には、「いいよ!」とか「もう一回!」みたいな応援系のフィードバックをかけてあげることが良さそうですね。
まとめ
本稿では「フィードバックと筋トレのパフォーマンス」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- フィードバックはどんな形式であっても筋トレのパフォーマンスを向上してくれる
- 誠実性が低い人ほどフィードバックの効果も高い
ということ。
視覚的なフィードバックでも筋トレのパフォーマンスは向上するということなので、一人で筋トレをする場合でも、鏡に映った自分のフォームをフィードバックとして確認しながら行うなどの工夫もできます。ちなみに、セルフトークといって心の中で自分自身に声をかけてあげることも運動のパフォーマンスを向上してくれることが分かっています。なので、自分自身で応援の言葉をかけるのもありということですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]