自分の強みを活かして幸福度を上げるためにはどんな強みを選べばいいのか?
本稿のテーマは”強みと幸せ”です。
ポジティブ心理学の研究では何をすると幸せになれるのかが研究されていて、
それらの研究の一つとして、
”自分の強みを活かすこと”が人を幸せにしてくれる
ということがわかっているんですね。
そこで本稿では
- 強みを活かすことの効果
- どんな強みを活かせば良いのか
について説明したいと思います。
強みの分類(VIA)
VIAはポジティブ心理学の第一人者であるマーティン・セリグマン博士らが開発して強みの分類方法で、強みに関する様々な研究でこのVIAは使われています。
VIAでは人の強みを次の24項目に分類します。
勇敢さ | 感謝 | ユーモア | 向学心 | 社会的知能 |
創造性 | 審美眼 | 柔軟性 | 大局観 | スピリチュアリティ |
好奇心 | 誠実さ | 親切心 | 忍耐力 | チームワーク |
公平性 | 希望 | リーダーシップ | 思慮深さ | 熱意 |
寛容さ | 慎み深さ | 愛情 | 自己コントロール |
VIS-ISという診断ツールもあって、120問の質問に答えることで自分の強みのランキングが分かるので、自分の強みを知りたいという人はぜひ診断してみて下さい。「VIA 診断」とかで検索すればやり方を解説したサイトが見つかるので、それを参考にすればネット上で簡単に診断することができます。
どんな強みを活かすのが良いのか?
VIA-ISで強み診断すると、24項目の強みが1位〜24位まで順位付けされます。
研究ではわかっているのは毎日1つ自分の強みを活かした行動をすることで、幸福度は上がるということです。
そうなると、それではどんな強みを活かせば良いのか?が疑問になりますよね。
その参考になるのがワシントン大学の研究(*1)です。
多くの研究では上位にランクインした強み、つまり既に持っている強みを活かすことで幸せになれることを研究していますが、この研究では今の自分に足りない強みを伸ばすことでも幸福度は上がるのでは?という視点で、この両者を比較しています。なかなか面白い着眼点ですよね。
上位の強み vs 下位の強み
この研究では375人を次の3つのグループにランダムに分けて1週間の強みを活かす行動をしてもらいます。
- 上位の強みを活かす行動を毎日1回する
- 下位の強みを活かす行動を毎日1回する
- 特に何もしない(コントロール群)
そして幸福度と気分の落ち込みがどのように変化するのを調べた結果がどうだったかというと
- 上位の強みと下位の強みのどちらの場合でも幸福度が向上し、その効果は3ヶ月後まで続いた
- 気分の落ち込みの改善効果は1週間の行動の直後にはみられたが、1か月後には消えていた。
ということです。下位の強みを活かすことにも上位の強みと同じように良い効果があるみたいなんですね。
それではどちらが良いのか?
上位の強みと下位の強みは総合するとどちらも同じように幸福度を上げてくれるということでしたが、この研究ではもう少し深く分析していて、人によって上位の強みを活かしたほうが効果が高くなる場合と、下位の強みを活かしたほうが効果が高くなる場合があるのではないかということを分析してくれています。
その結果は、
上位の強みを活かしたほうが効果が高かった人は
- 自分のことを徳が低いと思っている人
- 平均的な強みの分布からかけ離れた強みの分布をしている人
下位の強みを活かしたほうが効果が高かった人は
- 自分のことを徳が高い思っている人
- みんなと同じような強みの分布を持っている人
ということなんですね。自分で徳が高いと思っている人は普段から自分の強みを多く感じていそうなので、あえて下位の強みを伸ばすほうがいいのかもしれませんね。
どんな強みが効果が高いのか?
次に24項目のうちどの項目が高かった人が幸福度の向上効果と気分の落ち込みの改善効果が大きかったのかもこの研究では分析していて、その結果は
- 上位の強みの場合で幸福度の向上効果が高かった人が持っていたのは
向学心・忍耐力・チームワーク - 上位の強みの場合で気分の落ち込みの改善効果が高かった人が持っていたのは
向学心 - 下位の強みの場合で幸福度の向上効果が高かった人が持っていたのは
忍耐力・愛情・親切心・社交性・寛容性・自己コントロール・感謝 - 下位の強みの場合で気分の落ち込みの改善効果が高かった人が持っていたのは
大局観・忍耐力・誠実性・熱意・愛情・親切心・社交性・チームワーク・公平性・自己コントロール、希望、ユーモア
ということ。ただし項目によっては強みとして持っている人が少なくてデータの母数が小さい場合もあるようで、参考程度にするのがいいと思います。
まとめ
本稿では強みを活かして幸福度を上げる方法について説明しました。
ポイントをまとめると
- 上位の強みを活かすも下位の強みを伸ばすもどちらも幸福度を3ヶ月にわたって上げる効果と、気分の落ち込みを一時的に改善する効果がある。
- 上位の強みを活かすといい人は、徳が低い人と普通の人とかけ離れた強みを持つ人
- 下位の強みを活かすといい人は、徳が高い人と平均的な強みを持つ人
- 実践するには自分の強みを活かす行動を1日に1回行えばOK
ということです。
ちなみに私もVIA-ISを診断してみたところ、向学心が一番高かったです。確かに新しいことを勉強していると楽しいし幸せって感じがしますね。自分の強みを知って活かすということは意外と大切なのかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]