リモートワークで個人・同僚・チームのパフォーマンスはどうなるのか?
最近流行りのリモートワークにも良い面と悪い面があります。
良い面としては
- 邪魔が減って仕事の集中できるようになる
- ワークライフバランスよく自由に仕事を進められるようになる
- 自律心が高まってより大きな成果をあげようとする人もいる
悪い面としては
- 同僚からやる気をもらったり、上司から監視のプレッシャーでサボれなかったりという、周りの人間からの良い効果も減る
- チームの情報共有も減ってしまうし、メンバー同志の繋がりも弱くなってしまう
- 同僚がその場にいないというだけで、チームのための行動が減ってしまうことがある(目の前にいないと自分から困っている人を助けたりしづらい)
という感じ。個人で働く分には自由度が向上して嬉しい反面、チームで働く上ではいくつかの課題を抱えているのがリモートワークという現状ですね。
本稿ではリモートワークの結果として
- リモートワークをしたときに仕事のパフォーマンスはどう変化するのか?
に注目していきます。チームワークが乱れて、チーム全体のパフォーマンスが低下してしまうことはないのか?ユトレヒト大学の研究(*1)がこの件について新しく調べてくれていましたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。
リモートワークとパフォーマンスの調査
ユトレヒト大学の研究では、リモートワークとパフォーマンスの関係を
- 個人のパフォーマンスは向上するのか?
- 同僚のパフォーマンスは向上するのか?
- チーム全体のパフォーマンスは向上するのか?
ということを調べてくれています。特に2つ目の「リモートワークが増えたときに残された同僚のパフォーマンスが低下しないのか?」が新しい着眼点となっていて面白い点です。
どのようにリモートワークとパフォーマンスの関係を調べたのかというと、European Sustainable Workforce Survey(ESWS)という調査データを分析しています。このデータの特徴としては
- ヨーロッパの9カ国にまたがるデータ(ブルガリア、フィンランド、ドイツ、ハンガリー、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イギリス)
- 職種は6種類(製造、ヘルスケア、高等教育、輸送、金融、通信)
- 合計で259の企業の11,011人のデータが含まれる
で、仕事のパフォーマンスを様々な業種で分析できるようになっています。
リモートワークでパフォーマンスは向上するのか?
個人のパフォーマンス
最初に個人のパフォーマンスを見てみると
- 週2日まではリモートワークの時間が多くなるほど個人のパフォーマンス低下したが、週2日以上になると反転してパフォーマンスは回復した
- ただし、週2回以下のパフォーマンスの低下も少しのものであった
ということ。
この研究では、月に一回とかの頻度の少ないリモートワークも分析対象にしています。そうすると、定期的なリモートーワークではなく、いつもの業務とは違う非定期のリモートワークも含まれていて、これがパフォーマンスの低さに関係している可能性もあります。
週2回以上のリモートワークでは、個人のパフォーマンスは低下しなかったということなので、リモートワークが習慣として身につけば、個人のパフォーマンスは十分に発揮できるのかもしれません。
同僚のパフォーマンス
続いて、同僚がリモートワークでいなくなってしまった時のパフォーマンスの結果を見てみると、
- 同僚のリモードワークの時間が多いほど、残された人のパフォーマンスは低下してしまう傾向があった
ということ。
同僚が近くにいなくなると、サポートを受けにくくなったり、同僚からやる気をもらったりすることが減ってしまうため、リモートワークで残された人のパフォーマンスは低下してしまうようですね。
チームのパフォーマンス
最後にチームのパフォーマンスを見てみると
- チームのパフォーマンスは、週に1日以下のリモートワークであればほとんど低下しなかった
- リモートワークが週に1日以上になってしまうと、チームのパフォーマンスは低下してしまった
ということ。
やはりリモートワークはチームワークに課題があり、チームのパフォーマンスを低下させてしまうようですね。ただし、週に1日(8時間)以下のリモートワークであれば、パフォーマンスは維持できるということなので、リモートワークの取り入れからを工夫すると良いでしょう。
まとめ
本稿では「リモートワークとパフォーマンス」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- リモートワークで個人のパフォーマンスは少しだけ下がることもあるが、週2回以上の定期的なリモートワークであれば影響はない
- 残された同僚のパフォーマンスは、リモートワークが増えるほど低下してしまう。
- チームのパフォーマンスは、リモートワークが週に1日(8時間)を超えると低下してしまう
ということ。
リモートワークはただ取り入れるだけではチームのパフォーマンスを低下してしまいます。これを防ぐためにも、困っている人のサポート体制を作ったり、仕事に役立つ情報共有を促進したりして、チームワークを補うことが必要でしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Co-workers working from home and individual and team performance