収入が上がった!と収入が下がった!が幸福度に与えるインパクトの差の研究

最終更新日

Comments: 0

本稿のテーマは”収入と幸福”です。

収入が増えるほど幸福度を上がることが様々な研究によってわかっています。
(ただし一定金額までで、それ以上にお金が増えても幸福度は上がらないとも言われています)

なので、当然のことですが、収入が増えれば幸福度は上がって、逆に収入が減ってしまうと幸福度は下がってしまうわけです。

ここで面白いのが、収入が上昇が幸福度に与えるインパクトと、収入の減少が幸福度に与えるインパクトには、実は差があるということなんですね。つまり、年収が50万上がったときの幸福度の上昇が+10だとすると、年収が50万下がったときの幸福度は減少量は−20にもなり得るということですね。

それで、収入の上下にはどのくらいインパクトに差があるのかを調べてくれた面白い研究(*1)があったので、本稿ではその内容を見ていきたいと思います。

収入の上昇 vs 収入の低下

この研究では合計4万9293人(ドイツ2万8723人、イギリス2万570人)から得られた幸福度に関するデータを使って、収入の上昇と減少がそれぞれ幸福度にどれだけの影響を与えるのかを分析してくれています。

その結果はどうだったかというと、

  • 収入の低下は収入の上昇と比べて、幸福度に約2倍のインパクトがある
    (収入の上昇による幸福度の上昇係数:β=0.05)
    (収入の低下による幸福度の低下係数:β=0.11)
  • 大きさによらず、収入の低下があるだけで幸福度はβ=0.02だけ下がる

ということ。約2倍のインパクトということで、50万円の収入の低下は100万円の収入の上昇と同じくらいのインパクトということですね。また、収入が変わらないのと下がるのでは心理的に大きな違いがあるみたいで、少しでも収入が下がると一律でβ=0.02だけ幸福度が下がってしまうようです。

ちなみに、この研究では収入の上下と精神疾患の関係も調べていて

  • 収入の上昇は精神疾患と関係がなかった
  • 収入の減少すると精神疾患が増えた

ということ。幸福度だけでなく良いメンタルを保つという面でも、収入の減少のネガティブな効果の方がインパクトが強いようですね。

ネガティブ・バイアス

実はネガティブ・バイアスと言って、収入に限らず人はポジティブな出来事よりもネガティブな出来事に何倍も強く反応することがわかっています。例えば、褒められたときの嬉しさよりも怒られたときのネガティブな感情の方がずっと心に残りますよね。

人の進化を考えてもこれは大切な機能で、美味しいものを食べるといったポジティブな出来事を優先するよりも、危険な動物といったネガティブ出来事に強く反応することで人は生き延びることができたんですね。

ネガティブ・バイアスは予測するときのも起きる

ネガティブ・バイアスの厄介なところは、実際に起きた出来事の感じ方としてネガティブな出来事が強いだけでなく、将来を予測をするときにもネガティブな出来事をより強く感じてしまうことです。実は研究によっては実際に起きたときよりも、予測するときの方がネガティブ・バイアスが強いんじゃないかとも言われています。

例えば転職を考えているとして、年収が少し減るけどもっとやりがいのある仕事につける可能性があるとき、人はやりがいというポジティブな面よりも、年収が少し減るというネガティブな面を何倍も強く感じてしまうんですね。しかし、実際には仕事のやりがいも幸せにとってとても重要な要因で、年収が少し減ってもやりがいが高い方がずっと幸せになれるなんてことは十分にあり得ますよね。

なので、ネガティブ・バイアスの対策としては

  • 起こってしまったネガティブな出来事ばかりに注目せずに、ポジティブな出来度にも目を向けてあげる
  • 将来を予測するときはネガティブなことを過剰に評価しない

ことを意識することが大切だと思います。

まとめ

本稿ではネガティブ・バイアスと収入が幸福度に与えるインパクトについてを紹介しました。

ポイントをまとめると

  • 人にはネガティブな出来事の方を強く感じるバイアスがある
  • 収入の減少は収入の上昇の2倍のインパクトを幸福度に与える
  • 起こってしまったネガティブな出来事ばかりでなく、ポジティブな出来事にも目を向ける
  • 将来の予測をするときはネガティブ・バイアスに惑わされないように意識する

ということですね。

ちなみに、自分の周りの人の平均的な収入よりも自分の収入が低いと幸福度が低下してしまうということもわかっています。絶対的な収入額よりも周りとの相対的な収入がインパクトが強いということですね。なので、身の丈に合わない高収入な地域やマンションに住んだりするのはやめた方がいいかも知れませんね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1: Money, Well-being and Loss Aversion: Does an Income Loss have a Greater Effect on Well- being than an Equivalent Income Gain?

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする