フロー状態に入るには性格よりも状況が大切だという研究

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心理学の用語でフローとは100%の集中力で我も忘れて没頭している状態を言います。

例えば、「気付いたら時間があっという間に過ぎてた」みたいに時間感覚が無くなってしまう経験もフロー状態に入っていたときに起こる現象です。

仕事でも、勉強でも、スポーツでも、フローに入れたときにはより高いパフォーマンスが発揮できますし、終わったときに感じる達成感や幸福感もより高いものになります。なので、できればいつもフローに入りたいところですが、意図的にフローを作り出すのはなかなか難しいことでもあります。

そこで、本稿では「どうやったらフロー状態が生まれやすくなるのか?」について、リュブリャナ大学の研究(*1)を参考にお話ししていきたいと思います。

フロー状態と性格・状況

この研究では社会人を169人と学生を96人集めて、

  • どんな性格の人がフロー状態に入りやすいのか?
  • どんな状況がフロー状態を引き起こしやすいのか?

を調査しています。

社会人と学生を対象にしたのは、タスクの種類によってフローへ入りやすい状況が変わる可能性があるので、仕事と勉強の2種類のタスクを比較検討するためです。

そして、性格と状況の指標としては次の項目を測定しています。

  • ビッグ5性格分析(外向性、誠実性、協調性、開放性、神経性傾向)
  • RSQ-8状況分析(義務感、知性、逆境、仲間、ポジティブ、ネガティブ、欺瞞、社会性)

この研究では性格と状況のこれらの要因がフローとどう関係しているのか分析してくれているわけですね。

結果1:性格とフロー状態

分析の結果として性格とフロー状態の関係について分かったことは

  • 学生の場合にのみ協調性とフローに小さな相関があった
  • 社会人の場合の協調性や、外向性・誠実性・開放性・神経性傾向にはフロー状態との相関はなかった

ということ。

唯一あった協調性の相関も小さなものなので、性格とフロー状態にはほとんど関係がないと言っていいでしょう。つまり、フローに入りやすい性格というものはなく、誰でも状況次第でフローに入ることができるということが分かったわけですね。

結果2:社会人の状況とフロー状態

次に、社会人の場合に状況とフロー状態にどのような関係があったのかというと、

  • 義務感がある状況でフローは起こりやすい(r=.26)
  • 知性が求められる状況でフローは起こりやすい(r=.36)
  • ポジティブな状況でフローは起こりやすい(r=.31)
  • 社会性が必要な状況でフローは起こりやすい(r=.28)

ということです。

知性とポジティブな状況がフローが起こりやすいというのは、楽しくて頭を使うようなチャレンジングな仕事でフローが生まれやすいということですね。

また社会性がフローを起こしやすいというのは、チームで協力してこなす仕事でフローが発生しやすいということでもあります。一人で仕事をする方が集中できるという人もいると思いますが、チームで仕事をするということはより高い能力が求められるので、それがフローにつながることもあるようです。

結果3:学生の状況とフロー状態

一方で学生の場合に状況とフロー状態にどのような関係があったのかというと、

まず、社会人と同じように、

  • 義務感がある状況でフローは起こりやすい(r=.30)
  • 知性が求められる状況でフローは起こりやすい(r=.57)
  • ポジティブな状況でフローは起こりやすい(r=.54)
  • 社会性が必要な状況でフローは起こりやすい(r=.25)

の関係が確認されています。

さらに、学生の場合にはこの結果に加えて

  • 逆境はフローを起こりにくくしてしまう(r=-.26)
  • ネガティブな状況はフローを起こりにくくしてしまう (r=-.20)

という関係がわかっています。社会人と違って学生は逆境とネガティブの状況でフローが起こりにくくなってしまうようですね。

社会人にこのマイナスの効果が見られないのは、仕事の逆境や不安といったネガティブ感情を、困難な課題に挑んでいるからと前向きに捉える傾向があるからかもしれないということです。

まとめ

本稿では「フローに入りやすい性格と状況」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • フローには性格はほとんど関係なく、状況の方が大切!
  • どんな状況がいいのかというと、「困難な課題に対して頭を使って、楽しくポジティブに取り組んでいる状況」、さらに「みんなで協力して取り組んでいる状況」がフローを起こしやすい!

ということです。

フローに入りやすくするためにはフィードバックや目標の難易度も大切という研究もあります。なので、ちょうど良い難易度の達成目標を掲げて、その目標をどれだけ達成できたのかのフィードバックもつければ、もっとフローを発生させやすくなるでしょう。

例えば、つまらない単純作業なんかでも、目標時間を決めるだけで、それをどうやって達成しようかと頭を使って工夫するようになるので、フローにずっと入りやすくなると思います。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1: Bringing the Psychology of Situations into Flow Research: Personality and Situation Characteristics as Predictors of Flow

Naoto

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