セルフ・コンパッションが高いと夜更かしが減るという研究

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セルフ・コンパッションとは「自分へのやさしさ」のようなもので、失敗したり困難な状況に陥ったときに、自分を責めてしまうのでなく、優しく気遣えることを言います。

本稿では、セルフ・コンパッションの効果を確かめた研究の中に「セルフ・コンパッションが高いと夜更かしも減るぞ」という研究結果があったので、その研究を参考に、自分に優しくしてぐっすりと眠る方法についてお話ししていきたいと思います。

セルフ・コンパッションと夜更かし

次の日に朝早く起きなければいけないのに、夜遅くまで起きてしまうことは誰もが経験することですよね。研究によると74%の人は週に1回は夜遅くまで起きてしまっているとのこと。

それで、この夜更かしを防ぐにはどうすればいいのか?に着眼して、夜更かしとセルフ・コンパッションの関係を調べてくれたのが、シェフィールド大学らの研究(*1)になります。

セルフ・コンパッションが高い人の傾向

まずこの研究では、134人からセルフ・コンパッションと夜更かしの程度についてのデータを取得して、セルフコンパッションが高い人にどのような特徴があるのかを分析してくれています。

その結果によると

  • セルフ・コンパッションが高いとネガティブな感情が減る
  • セルフ・コンパッションが高いとポジティブな感情が増える
  • セルフ・コンパッションが高いと夜更かしが減る
  • セルフ・コンパッションが高いと睡眠の質も良い
  • セルフ・コンパッションが高いと寝付きが良くなる

という傾向が確認されていて、セルフコンパッションはいいこと尽くめの効果となっているんですね。

どうやらセルフ・コンパッションが高まると、ネガティブな感情が減ってポジティブな感情が増えるので、それが睡眠にいい効果を与えているようなんですね。

セルフコンパッションはなぜ睡眠を改善するのか?

それで、次にこの研究では、810人からさらに細かいデータを取得して、セルフ・コンパッションがなぜ睡眠を改善してくれるのかを分析してくれています。

その結果によると

  • セルフ・コンパッションが高い人は、悪いことがあっても良い解釈をするリアプレイザルの能力が高いので、ネガティブな感情が少なく、ポジティブな感情が多くなる
  • セルフコンパッション→夜更かしが減るという直接の関係もあったが、セルフコンパッション→ネガティブ感情の軽減→夜更かしが減るという経路も確認された。(ポジティブ感情が増えることには夜更かしの軽減効果はなかった)

ということ。

つまり、セルフ・コンパッションの大きな効果は、悪い状況でも自分に優しくすることで感情的にうまく対処できることということですね。感情がネガティブに偏ってしまうと自己コントロールもうまくできなくなってしまいます。なので、セルフコンパッションで感情を安定させることは、結果として自己コントロール能力を高めて、夜更かしをしないといった健康的な行動を増やすことにつながるんですね。

実はセルフ・コンパッションは夜更かし以外にも、

  • 運動が増える
  • 食生活が健康的になる
  • 禁煙や禁酒が上手になる
  • ストレスへの対処がうまくなる

など、自己コントロールが必要な様々なことに効果があることもわかっているんですね。

セルフ・コンパッション

セルフ・コンパッションの良い所はもう一つあって、それは実践することで比較的簡単に向上できるということなんですね。性格のように変えにくいものではなく、やればやるだけうまくなるということですね。

それで、セルフ・コンパッションの実践には3つのステップがあって

①自分に優しくする
まずは、他人に優しくするように、自分に対して優しくしてあげます。自分自身に対する手紙と書いてみたりするのも良いです。

②自分だけでないと考える
こんなに辛い思いをしているのも自分だけでなく、生きていれば誰しもが経験することだと考えます。自分だけの狭い視野でなく、世界の誰もがそうなんだと広い視野になって考えます。

③マインドフルになる
感情に囚われたり、感情を悪いものだと決めつけたりもせずに、ただ客観的にありのままの感情を受け入れます。そうすることで、感情を別の角度から見ることができるようになり、その感情に新しい良い解釈をすることができるようになります。

という3ステップです。

辛い状況やネガティブな感情でいっぱいのときは、この3ステップを思い出して、自分に優しくしてみてください。

まとめ

本稿では「セルフ・コンパッションと夜更かし」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • セルフ・コンパッションが高いと、夜更かしが減って、睡眠の質も良くなる!
  • セルフ・コンパッションを実践すれば、悪い状況への感情的な対処がうまくなって、自己コントロールがうまくなる!

ということですね。

夜遅くまでテレビを見てしまったり、ゲームをやってしまったなんてときも、自分を責めると逆効果になってしまう可能性があります。そんなときほど、「誘惑に負けてしまう時もあるものだ。次は早く寝れるようにしよう」と自分に優しくしてあげるのがいいのかもしれませんね。

以上、本稿はここまで。

[参考文献]

*1 : Self-Compassion and Bedtime Procrastination: an Emotion Regulation Perspective

Naoto

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