自律がモチベーションと働きがいを向上させる【自律型組織の作り方】

仕事のモチベーションや働きがいを向上せる方法として、心理学ではSelf-Determination Theoryという考え方があります。

これは自律、つまり仕事を自分でコントロールすることが、モチベーションや働きがいを向上させるという考えです。本稿ではこちらの論文をもとに、自律をベースとしたモチベーションと働きがいの高め方を考えていきましょう。

内発的モチベーションと外発的モチベーション

Self-Determination Theoryはモチベーションを向上させることを目的としていますが、そのモチベーションにも種類があります。心理学では内発的モチベーションと外発的モチベーションの2種類に分類します。 

内発的モチベーション

仕事が楽しいという純粋な興味から湧きあがるモチベーションのこと。内発的モチベーションには次のような良い効果が確認されています。

  • 創造力を上げる
  • 頭を使う仕事のパフォーマンスを上げる
  • 好きでやってるので行動が継続する
  • 指示しなくても主体的に動いてくれる
  • 働きがいや幸福度を上げる

外発的モチベーション

仕事そのものでなく、外部の要因が原因となるモチベーションのこと。
例えば、報酬がほしいや上司に認められたいといった欲求であったり、上司からのプレッシャーや監視といった強制力も外発的モチベーションにあたります。外発的モチベーションには一部の良い効果がありますが、悪い効果が大きいです。

  • 単純作業のパフォーマンスは上げてくれる
  • 一方で頭を使う仕事のパフォーマンスは下げてしまう
  • 報酬や強制力があるときしか仕事をしなくなる
  • 働きがいや幸福度を下げてしまう

仕事におけるモチベーションのあり方とは?

内発的モチベーションには多くの良い効果があることがわかります。しかし、みんなが「好きなことで生きていく」をモットーに内発的モチベーションのみで生きていたらどうでしょう?

好き勝手にやって会社が回らなくなるのがオチでしょう。つまらない仕事も誰かがやらなければいけないのがやっぱり現実なのです。

そこで、ただ内発的モチベーションを高めるというのは、会社において目指すべき姿ではありません。つまらない仕事もしっかりと行いつつ、同時に仕事を楽しめるのが理想です。そのためには、外発的モチベーションをできるだけ内発的モチベーション に近づけことを目指すべきです。

外発的モチベーションの内面化

外発的モチベーションを内発的モチベーションに近づけるということは、仕事をできるだけ人の内面に組み込んで、主体的に自分らしく働けるようにすることです。

外発的モチベーションの内面化には4つの段階があります。

①外部要因依存
完全に報酬や強制力のために働いており、ただ指示された仕事をこなしている状態。内発的モチベーションがない状態。

②良い感情の発生
報酬や強制力のために働きつつも、自分の能力に自信を持ち始めたり、人の役に立つことに嬉しさを感じたりと、自分の内面で仕事に対する良い気持ちが芽生え始める。つまり、内発的モチベーションに近づき始めた状態。

③主体性の向上
自分なりに工夫してみたり、目標をもって仕事に取り組んだりと、ただ指示された通りに働くのでなく、自分らしさを発揮し始める。主体的に取り組むことで段々と内発的モチベーションに近づいている状態。

④仕事と内面の調和
仕事と自分の内面が調和した状態。自分の価値観と仕事が一致していて仕事に高い意義を感じたり、仕事の進め方を完全に任されて自分で仕事をコントロールしている。もともとは外発的モチベーションでやっていた仕事にも、意義や自分らしらを見出して、かなり内発的なモチベーションに近づいている状態。

内面化した外発的モチベーションの効果

このように内面化した外発的モチベーションには、内発的モチベーションとは少し違う良い効果があります。

  • 創造力を高め、頭を使う仕事のパフォーマンスを上げる
  • 頭を使う仕事でも単純作業でも仕事満足度が高まり、幸福度も上昇する
  • 内発的モチベーションと違って、好きでない仕事でもモチベーションが下がらない
  • 自己中心的な行動が減って、組織のために行動が増える

内発的モチベーションと違って、好きでないことでも仕事としてのモチベーションを高められるというのが特徴で、より仕事向きのモチベーションと言えるでしょう。

内面化するにはどうすればいいのか

内面化のためには3つの心理的欲求を満たしてあげることが大切です。

①有能感 
仕事で自分の能力に自信が持てると、その仕事を好きになります。また、その自信から、この能力を活かしてもっと成果を上げられないかと主体的な行動を生み出します。このように、有能感は主体的行動を生み出すまでの内面化の初期段階に特に必要なことです。

②関連性 
関連性は周囲の人やチームに所属している感覚や、周りの人と良い人間関係を築けているという感覚です。周囲の人のサポートがあるという安心感や、 周りの人が自分のことを理解してくれているという感覚があると、自分らしさを発揮して働きやすくなります。

③自律性
自律性とは自分で自由に仕事をコントロールできることです。細かく仕事の指示されるのでなく、自分で考えて自分の思うように仕事を進められることが仕事の内面化を促進します。仕事はチームで行うことが多く、周囲の協力無しには思うように進められないことが多いです。そのため、周囲の人、特に上司やリーダーがしっかりと自律をサポートすることがとても大切です。自律性は特に仕事と内面との調和を目指す内面化の最終段階で大切な要素です。

リーダーの役割

自律してモチベーションの高い組織を作るのに何よりも大切なのはリーダーが自律をサポートすることです。自律を促進するためにリーダーが取るべき行動例をあげてみます。

自律を促進するリーダーの特徴

  • 仕事の意義や目的を伝える
  • 細かく指示せずにある程度は部下に任せる
  • 仕事の難易度をちょうどよい困難さにする
  • 部下に選択肢を与えて、その中から部下に選んでもらう
  • 目標を部下自身に決めてもらう
  • 適切なフィードバックをする
  • 自律した個々が相互にサポートする組織を作る

まとめ

以上、自律をベースにしてモチベーションと働きがいを向上させる方法について説明してきました。

働きがい向上のためにも、自律して自分らしく働ける組織を目指してみてはいかかでしょうか。

Naoto

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