嫌な奴ほどクリエイティブなアイデアを出すのが得意なのか?

ブレインストーミングなど、グループでアイデアを出し合うときに、奇抜なアイデアほど言い出しにくいことがあります。

これがなぜかというと、これまでと似たアイデアであれば、みんなにすんなりと受け入れてもらえて、自分が変人扱いされることもありませんが、奇抜なアイデアだと、相手に理解してもらうことも大変だし、自分の評価が下がるリスクも高いからですね。

そうすると、相手のことを考えない「嫌な奴」ほど奇抜なアイデアを口に出しやすいということが起こりえます。ここでいう嫌な奴とは、協調性の低い人のことで、みんなが協力している状況でも、平気で意義を唱えるような人のことですね。

つまり、クリエイティブなアイデアを出すときには

  • 協調性の高い人は、他人の評価や他人の負荷を気にして、あまり奇抜なアイデアを言い出せない。どちらかというとみんなの意見に乗っかるようなアイデアを出しがち
  • 協調性の低い嫌な奴は、他人のことを気にせずに自分の思い浮かんだアイデアをずけずけと口に出す。なので、一から自分で考えた独創的なアイデアが多くなる

という可能性があるわけですね。確かに多くの人が集まる中でもズバズバと意見やアイデアを出す人は、芯の強い人で他人に左右されないイメージはありますよね。

そこで本稿では、この現象が本当なのかを確かめてくれたペンシルバニア大学らの研究(*1)を見ていきましょう。

協調性はクリエイティビティを下げてしまうのか?

この研究では2つの実験を行っていて、一つ目の実験では

  • 協調性が高いと、グループでのアイデア出しでクリエイティブなアイデアが減ってしまうのか?

について調べてくれています。

この実験では201人を対象にしていて、

  1. 性格(協調性含む)を測定する
  2. 自分一人でアイデアを書き出してもらう
  3. その後にグループで話し合ってアイデアを出してもらう

という手順で、協調性がアイデアの独創性にどのように関係するのかを分析しています。

結果

その結果として分かったことは

  • 一人のアイデア出しでは協調性は特に影響しなかった
  • グループでのアイデア出しでは、協調性が高い人ほど良いアイデアを出すのが下手だった
  • グループ全体の協調性が高くなるほど、良いアイデアも出にくくなってしまった

ということです。

協調性が高い人は一人では良いアイデアが出せても、グループになると良いアイデアが出にくくなってしまうということで、他人を気にする心理的なハードルが、いかにクリエイティビティに悪いものかがわかりますね。

言い出しやすい雰囲気を作ったらどうなる?

協調性が高いほど良いアイデアが減ってしまうとなると、嫌な奴の一人勝ちになってしまいます。そこで、この研究では、

  • どんなアイデアも言い出せる良い雰囲気を作ってあげれば、協調性が高い人でも独創なアイデアを出してくれるのでは?

ということを2つ目の実験で確かめてくれています。この実験では言い出しやすい雰囲気づくりとして

  1. アイデアに対して他人からポジティブなフィードバックがもらえる
  2. 率先して独創的なアイデアを言ってくれる他の人がいる

という2点を取り入れていて

フィードバック率先してアイデアを出す人
グループ1ポジティブいる
グループ2ポジティブいない
グループ3ネガティブいる
グループ4ネガティブいない

の4通りのグループに分けてアイデア出しを行ってもらっています。

結果:雰囲気が良ければ協調性が高くても大丈夫

その結果として分かったことは、

  • 協調性が高い人は、ポジティブなフィードバックがある場合に、協調性が低い人よりもアイデア出しが上手くなった。
  • 協調性が低い人は、ネガティブなフィードバックがある場合に、協調性が高い人よりもアイデア出しがうまかった
  • 率先して独創的なアイデアを出してくれる人の存在は、協調性が高い人と低い人の両方でアイデア出しを向上させた

ということ。面白いことに、フィードバックの内容で結果が真逆になっていますね。

協調性が高い人は、ネガティブなフィードバックがあると周りの評価を気にしてしまって変な意見が言い出しにくくなるのに対して、協調性が低い人は、否定的な意見で議論したりアイデアを競わせることが得意なのかもしれませんね。

まとめ

本稿では「嫌な奴ほどクリエイティブなアイデアは多いのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 一人でのアイデア出しでは協調性は関係ない
  • グループでのアイデア出しで、ネガティブなフィードバックがある場合には、協調性の低い嫌な奴がアイデア出しが上手くなる
  • グループでのアイデア出しで、ポジティブなフィードバックがあって、言い出しやすい雰囲気があると、協調性が高い人の方がアイデア出しが上手くなる
  • 率先してアイデアを出してくれる人の存在は、どちらの場合でもアイデア出しを向上してくれる

ということですね。協調性が高い人やグループにとってアイデア出しで大切なのは、周りを気にして変なアイデアを言い出しにくい雰囲気を無くすことみたいですね。

この雰囲気の壁を越えるには、

  • 一人でのアイデア出しをしてから持ち寄る
  • 他の人のアイデアを否定してはいけないルールを作る
  • 最初にみんなでバカげたアイデアを一つずつ言って心理的ハードルを下げる

などの対策が良いと思います。活用してみてください。

以上、本稿はここまで。

[参考文献]

*1 : Is Being a Jerk Necessary for Originality? Examining the Role of Disagreeableness in the Sharing and Utilization of Original Ideas

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする