セルフ・コンパッションを上げるとどんな良い効果があるのかをまとめた研究

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セルフ・コンパッションとは自分への優しさのようなもので、辛いときや失敗したときに、自分に批判的になるのではなく、他人に優しくする接するように自分に優しさを向けてあげることです。

セルフ・コンパッションは健全なメンタル面の保つのに大切なことで、セルフコンパッションが高まると

  • ネガティブな感情が減る
  • ストレスが減る
  • 自己批判が減る
  • マインドフルネスが向上する

などの良い効果があることが様々な研究で分かっています。

そこで、オーストラリアカトリック大学らの研究(*1)が、これまでのセルフ・コンパッションの研究を集めて、セルフ・コンパッションにどんな効果があるのかをまとめてくれていました。本稿ではこの研究を参考に、セルフ・コンパッションの有効性について学んでいきましょう。

セルフ・コンパッションの3つの要素

オーストラリアカトリック大学の研究(*1)では、

  • ランダム化比較試験によりセルフ・コンパッションの効果を確かめた研究27件(1480人)

をメタ分析でまとめてくれています。ランダム化比較試験の研究を対象にしているので、セルフ・コンパッションを何らかしらの方法で高めた場合に、何もしていない比較対象のグループと比べて、メンタル面にどのような良い効果があるのかを測定しているわけですね。

それで、セルフコンパッションの高め方には次の3つのポイントがあって、これらのポイントに沿っていることが今回のメタ分析の基準にもなっています。

  • ①自分への優しさを高める
    自己批判をするのでなく、自分に優しくすること。セルフ・コンパッションの最も基本となることですね。
  • ②つながりで考える
    自分だけの狭い視点になるのでなく、人間全体の広い視野で自分の欠点や不完全性を見つめ直すこと。例えば、自分は何でこんなにダメなんだろうと狭く考えるのでなく、人間なら誰でも失敗することはあると広く考える感じ。
  • ③マインドフルネスを高める
    負の感情に溺れてしまわないように、冷静で客観的な視点で自分の中に浮かんでいる考えをありのままに受け止める(良い悪いの判断もしない)

ということで、この研究では、「自分への優しさ」「つながり」「マインドフルネス」の3つの側面からセルフコンパッションを高める訓練をしたときに、どんな良い効果があるのかをまとめてくれたわけですね。

セルフコンパッションの効果とは?

効果1:大きな効果ありの項目

セルフコンパッションの向上により得られた特に大きな効果は

  • 食生活の改善(効果量g=1.76)
  • 反芻思考の軽減(効果量g=1.37)

の2つということ。

ストレスが溜まったりネガティブなときは、お酒やジャンクフードに走ってしまたりと、どうしても食生活も乱れてしまうものですよね。セルフ・コンパッションが高まると、こうした状況にも強くなるのか、食生活が健康的になるということです。それにダイエット中についついお菓子の誘惑に負けてしまったときにも、自分に批判的になると逆効果だったりするので、セルフ・コンパッションによりメンタルが持ち直しているのかもしれませんね。

2つ目の反芻思考とは、悩みなどのネガティブな考えが頭の中から離れなくなって何度も繰り返して考えてしまうことです。これはメンタルにとって非常に害があることが分かっていて、セルフ・コンパッションはこの反芻思考を軽減するのに大きな効果があるということです。

効果2:そこそこ効果ありの項目

次に効果量的にそこそこの効果だと判断されたのは

  • セルフ・コンパッションの向上(効果量g=0.75)
  • ストレスの軽減(効果量g=0.67)
  • 気分の落ち込みの軽減(効果量g=0.66)
  • マインドフルネスの向上(効果量g=0.62)
  • 自己批判の軽減(効果量g=0.56)
  • 不安の軽減(効果量g=0.57)

ということ。

メンタル面にとって良い効果がずらっと並んでいますね。これらの効果をみると、特にネガティブな思考になってしまっているときは、セルフ・コンパッションが役に立ちそうですね。

効果3:少し効果ありの項目

最後に効果的には少しだけど統計的には有意に効果がありと判断されたのは

  • ポジティブな感情の向上
  • 人生満足度の向上

ということ。

セルフ・コンパッションが特に強いのはメンタルがネガティブな状態になるのを防ぐことのようですが、若干ポジティブ側に持ち上げてくれる効果もあるようですね。

まとめ

本稿では「セルフ・コンパッションを高めることの効果」についてまとめました。

ポイントをまとめると、セルフ・コンパッションの効果は

  • 特に「食生活の改善」と「反芻思考の軽減」に大きな効果がある
  • 「自己批判、不安、ストレス、落ち込み」などのネガティブなメンタルの改善にそこそこ効果がある
  • 「ポジティブな感情や人生満足度」といったポジティブを増やすことには少しの効果がある

ということですね。

セルフ・コンパッションに良い効果がたくさんあるということで、なかなか嬉しい結果でしたね。辛いときや失敗して落ち込んでいるときは「自分への優しさ」「つながりで考える」「マインドフルネス」のセルフ・コンパッションの3つのポイントを実践してきましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Self-Compassion Interventions and Psychosocial Outcomes: a Meta-Analysis of RCTs

Naoto

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