仕事の何にモチベーションを感じるかは、年齢によっても変わるという研究
仕事のモチベーションを高めるのには、仕事を適切な形に変える必要があります。
- 自分に裁量があって自律して働けるとモチベーションが高まる
- 挑戦しがいのある難易度の仕事だとモチベーションが高まる
- 同僚や上司のサポートがあって安心感が得られるとモチベーションが高まる
など、仕事のモチベーションにとって大切なポイントが色々とあることが研究により分かってきているんですね。
しかし、これらのポイントだけ押さえておけばOKというわけではなく、人によってどのポイントにどれだけ働きがいを感じるのかは変わってきます。さらに、今回注目するオランダの研究では、
- 仕事のモチベーションに必要な要素は、年齢のよっても変わるのでは?
ということを問題提起しています。
若い人はスキルアップできる仕事にモチベーションを感じるとか、年齢が高くなると責任感の大きな仕事にモチベーションを感じるようになるとか、考えてみると年齢も大切な要素であることが想像できますよね。本稿ではこの研究を参考に、仕事のモチベーションを高める要素の年齢差について学んでいきましょう。
仕事の6つの特徴と年齢の影響
この研究では、1036人の社会人を対象に、次の仕事の6つの特徴とモチベーションの関係を調べています。
- 仕事の5要素のスコア
モチベーションを高めるように有効だと考えられる5つの要素(自律、スキルの多様性、フィードバック、仕事の独自性、仕事の重要性)を加算したスコア - 仕事の負荷
仕事の量、仕事の質(複雑さや難しさ)、仕事の要求の3つの側面から、仕事の負荷を測定 - 同僚のサポート
自分が困っているときに同僚からサポートが得られるかどうか - 上司のサポート
上司が仕事のサポートやアドバイスをしてくれるかどうか - 報酬
給料などの報酬面が良いか - キャリア機会
自分のキャリアを高める機会に恵まれているか
そして、これらの6つの仕事の特徴に対して分析したのが
- 6つの特徴は仕事のモチベーションを高めてくれるのか?
- 若い人と年配の人で6つの特徴の影響度は変わるのか?
となっています。
結果1:仕事の6つの特徴とモチベーション
最初に仕事の6つの要素とモチベーションとの相関を見てみると、
- 5つの要素(モチベーションを高める仕事の5要素、同僚・上司のサポート、報酬、キャリア機会)は、全てモチベーションを高める方向の相関があった
- 仕事の負荷だけは、モチベーションと相関関係がなく、モチベーションに良い他の要素とはマイナスの関係になっていた。
ということ。
仕事の負荷が重いほどモチベーションが低下してしまうのはしょうがないことですね。他の5つの要素は全てモチベーションにとってプラスになっているので、仕事の負荷を押さえつつ、これらの5つの要素を挙げるのがポイントになります。
結果2:6つの特徴と年齢の影響
仕事の負荷を除く5つの特徴がモチベーションを上げる中で、2つの特徴は年齢の影響を強く受けることが発見されています。この2つの特徴とは、
- モチベーションを高める5つの要素(自律、スキルの多様性、フィードバック、仕事の独自性、仕事の重要性)は、特に年齢が高い人のモチベーションを上げる効果が強かった
- キャリアを高める機会は、特に年齢が低い人のモチベーションを上げる効果が強かった
ということ。
なので、年齢が高い人は、重要な仕事や意義を感じられる仕事に自律して取り組むときにモチベーションが高まりやすい。年齢が低い人は、将来のキャリアにつながる機会が多いほどモチベーションが高まりやすいということですね。
結果3:仕事の満足感はまた別
最後に、この研究ではモチベーションだけでなく、仕事の満足感に6つの特徴がどのように影響するのかも調べています。その結果をみると、
- モチベーションを高める5つの要素、同僚のサポート、上司のサポート、キャリアの機会が仕事の満足感に相関していた。
- 仕事の負荷と報酬は仕事の満足感を上げなかった
- これらの効果は年齢の影響を受けなかった
ということ。仕事の満足感という意味では、上記の4つを高めておけば年齢によらずに効果が得られるので大丈夫みたいですね。
まとめ
本稿では「仕事のモチベーションを高める要素は年齢によって違う」という話をしました。
ポイントをまとめると、
- 何に仕事のモチベーションを感じるかは、年齢によっても変わる
- 年齢が高い人は、重要で意義が感じられる仕事に自律的に取り組むときにモチベーションを高く感じやすい
- 年齢が低い人は、今後のキャリアを高める機会が多いとモチベーションを高く感じやすい
ということ。
これらのポイントを抑えて、相手の年齢に応じて、割り振る仕事や仕事の形を変えてあげると、より高いモチベーションを発揮してくれるでしょう。若い人には少し上の仕事をどんどん任せていくと、キャリアアップや成長を感じられて良いのかもしませんね。もちろん、そのときには負荷が重すぎないような配慮と、上司や同僚のサポートが必要です。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]