ショルダープレスは立った方がいいのか座った方がいいのか?
肩を鍛えるトレーニングの中で有名なものの一つがショルダープレス。
ジムでもやっている人を多く見かけますし、やり方も色々なパターンがありますよね。
そこで本稿では、ショルダープレスのやり方として
ダンベルとバーベルどっちがいいのか?
ベンチに座ってやるのと立ってやるのはどっちがいいのか?
を面白い研究結果(*1)を参考に説明したいと思います。
ショルダープレスの4パターンを比較
こちらの研究では15人の普段からショルダープレスを行っている人を集めて、
次の4つのパターンのトレーニングをそれぞれやってもらいます。
- 座り×バーベル
- 座り×ダンベル
- 立ち×バーベル
- 立ち×ダンベル
そして、この4パターンのトレーニングで次の2つを測定します
- 各筋肉のEMG(筋繊維から発生する活動電位の強さ)
・三角筋前部
・三角筋中部
・三角筋後部
・上腕三頭筋
・上腕二頭筋 - 1RM(持ち上げられる最大重量)
ちなみに疲れて後半の種目の筋力が落ちてしまうなんてことがないように、3〜5日のインターバルをあけて4日間に分けて測定しているみたいです。
結果:三角筋のEMG
三角筋のEMGはそれぞれ次のグラフの通り。
このグラフは白い棒グラフがバーベル、黒い棒グラフがダンベル
左の2本が座り、右の2本が立ちを示しています。
このグラフから分かるのは
- バーベルよりもダンベルの方がEMGが高い
(白い棒グラフより黒い棒グラフのほうが高い) - 座りよりも立ちの方がEMGが高い。特に後部の場合は差が大きい
(左の2本よりも右の2本の方が棒グラフが高い)
ということで、
- 三角筋に一番効くのは立ち×ダンベル
という結果が出ています。
結果:上腕二頭筋、上腕三頭筋のEMG
続いて上腕二頭筋と上腕三頭筋のEMGの結果は次のグラフの通り。
このグラフから読み取れるのは
- 三角筋と逆でダンベルよりもバーベルの方がEMGが高い
(黒い棒グラフより白い棒グラフのほうが高い) - 全体的に座りよりも立ちの方がEMGが高い
(上腕三頭筋の黒い棒グラフが下がっているように見えるが、統計的には有意な差ではない)
ということで上腕二頭筋と上腕三頭筋にはバーベルの方が効くようですね。
ダンベルは左右の手が独立して動くのに対して、バーベルでは手幅が固定されているため、若干軌道が変わるのが原因かもしれませんね。
結果:1RM
4パターンのそれぞれの1RMが次のグラフになっています。
このグラフから分かるのは
- 座りよりも立ちの方が1RMは低い
- バーベルよりもダンベルの方が1RMは低い
ということで、特に立ち×ダンベルの組み合わせ(右の黒い棒グラフ)で1RMは低いことがわかります。
結論:結局どれがオススメなのか?
以上の結果をまとめると
- 扱える重量は低いけど”立ち×ダンベル”が一番筋肉を使う!
ということですね。
これがなぜなのかというと、筋トレでは不安定な方が筋肉を使うという考えがあるんですね。
例えば、マシンとフリーウェイトのトレーニングを比べると、
軌道を安定させるのにも筋力が必要なフリーウェイとの方が多くの筋力を使うわけです。
これと同じ原理がこの研究にも当てはまって、
- 座るよりも立ちの方が不安定なので筋力を多く使う
- バーベルよりもダンベルの方が不安定なので筋力を多く使う
ということなんです。
不安定になると当然1RMは下がるので扱える重量も下がってしまいます。
しかし、重量は下がってもEMGは高くなっていて筋繊維の活動は増えているのですね。
これが今回のショルダープレスの研究で分かったことです。
ということで、バーベルの方が上腕二頭筋と上腕三頭筋を使うという結果も出ていましたが、ショルダープレスでメインに鍛えたい三角筋に注目するなら、
- 立ち×ダンベルのショルダープレスがオススメ!
と言えますな。
以上、それでは良い筋トレライフを!
[参考文献]
*1: Effects of body position and loading modality on muscle activity and strength in shoulder presses.