ベンチプレスの可動域・手幅・角度による効果の違いについての研究

本稿のテーマは「効果的なベンチプレスのフォーム」についてです。

ベンチプレスは筋トレでも最も人気のある種目の一つだと思いますが、やる人が多いだけあってフォームについても色々な意見があります。

例えば、
バーベルを掴む手幅はどのくらいが良いのか?
可動域はどれだけ取れば良いのか?
ベンチの角度はつけた方がいいのか?
などですね。

そこで本稿では、これらの問題について調べてくれた2つの研究を参考に、ベンチプレスの効果的なフォームについて検討していきたいと思います。

ベンチプレスの可動域

ベンチプレスの可動域とはバーベルをどこまで下げるのかということです。
よく言われるのは「バーベルが胸につくまで下げる」というもので、これは最大限に可動域を活かしたフルレンジと呼ばれる方法になります。

ムルシア大学らの研究(*1)がこの可動域と筋力向上の関係を調べてくれています。

その研究では50名の参加者を次の4つのグループに分けます

  1. フルレンジのベンチプレス
  2. 2/3の可動域のベンチプレス
  3. 1/3の可動域のベンチプレス
  4. トレーニングしない

そして、10週間にわたって週2回のトレーニングを実施してもらってどれだけ筋力が向上するのかを確かめたんですね。ちなみにそれぞれにグループでベンチプレスの重量とセット数、回数は同じに設定されています。

その結果がどうなったのかというと、

上記のグラフは棒グラフが4本セットで並んでいて、左からフルレンジ、2/3レンジ、1/3レンジ、コントロールとなっています。左上のグラフが最大重量の伸びを示していて、それ以外は3つのグラフはいくつかの重量でのベンチプレスの速度の伸びを表しています。

どのグラフもフルレンジの白い棒グラフが一番高くなっていて、可動域が小さくなると伸びも下がってしまっていることがわかります。

つまり、この研究からわかることは

  • 可動域は広い方が筋力の伸びが良い!

ということですね。なので、ベンチプレスは胸につくまでバーベルを下げるのが正解になります。

ベンチプレスの手幅と角度

続いてベンチプレスの手幅と角度に関する研究(*2)です。

ベンチプレスの手幅について

まずこの研究ではベンチプレスの手幅を次の3パターンで変えた時に、筋肉の活動がどう変わるのかを見ています。

  1. ワイドグリップ(広め)
  2. ミディアムグリップ(中間)
  3. ナローグリップ(狭め)

筋肉の活動はEMGという筋肉を使う時に発生する活動電位を測定していて、次の筋肉の活動を測定しています。

  • 胸筋の中部〜下部
  • 胸筋の上部
  • 上腕二頭筋
  • 上腕三頭筋
  • 三角筋前部
  • 三角筋後部
  • 広背筋

その結果として、手幅の違いでどのような違いがあったのかというと、

  • ほとんどの筋肉は手幅が変わっても同じだけ筋力が発揮されていた
  • ナローグリップの場合だけ上腕二頭筋の活動が少なかった
  • 扱える重量はワイドグリップが一番高かった

とのこと。手幅を変えるくらいでは大きくは筋肉の活動は変わらないようですね。なので、一番重量の扱えるワイドグリップで行うのが無難なのではないでしょうか。

ベンチの角度について

続いてベンチの角度については先の手幅と同じ研究が次の2パターンを比較しています。

  1. フラットベンチ(角度なし)
  2. インクラインベンチ(+25°)
  3. デクラインベンチ(−25°)

で測定している筋肉のEMGは手幅の場合と同じになります。

その結果として角度の違いで筋肉の活動にどのような違いが出たのかというと

  • ほとんどの筋肉は角度が変わっても同じ筋力を発揮していた
  • インクラインの場合だけ上腕三頭筋の活動が弱く、上腕二頭筋の活動が強くなっていた。
  • インクラインの場合は、フラットとデクラインよりも扱える重量が下がった

ということで、ベンチの角度も+25°〜−25°程度ではあまり大きな効果の違いは無いみたいです。もう少し角度をつけてみれば結果も変わるのかもしれませんね。

なのでガンガン高重量を扱いたい人はフラットでやればいいし、怪我をしたくない人などは少しインクラインにして重量を下げても同じような筋力が発揮されるということです。

まとめ

本稿では「ベンチプレスの可動域・手幅・角度」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • ベンチプレスは胸にバーベルをつけるフルレンジでやるのが効果的!
  • 手幅はワイドの方が重量が上がる!
  • 角度は+25°〜−25°程度ではあまり変わらない

ということですね。パワーリフターのようにガチで記録を狙うのでない限り、手幅や角度が筋肉に与え影響は小さいようなので、そこまで気にしないでもいいのかもしれませんね。

筋肉への刺激を少し変えたいときなんかに、ちょっと手幅や角度を変えてみるのはいいかもしれません。ただ、ダンベルフライなど種目自体を変える方が筋肉の刺激の変化も大きいかもしれませんので、そこら辺はいろいろ試してみるといいと思います。

以上、それでは良い筋トレライフを!


[参考文献]

*1: Bench Press at Full Range of Motion Produces Greater Neuromuscular Adaptations Than Partial Executions After Prolonged Resistance Training

*2: The Effects of Bench Press Variations in Competitive Athletes on Muscle Activity and Performance

Naoto

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