筋トレは限界まで追い込まない方が少し効果が高い!という意外な研究結果

筋トレのセットと回数の組み方には色々な方法がありますが、その中の一つに

もう持ち上がらなくなるまで追い込む

という方法があります。

例えば80kgのベンチプレスを10回×3セットのように回数を固定するのでなく、

1セット目:限界まで!
2セット目:限界まで!
3セット目:限界まで!

といった感じで、常に限界に追い込むなかなかハードなトレーニングになります。

筋トレが好きな人の中には、筋肉に効かせようと限界まで追い込む人が多いのではないでしょうか。

そこで本稿では、「限界まで追い込むことには本当に効果があるのか?」を調べてくれた研究(*1)を参考に、筋トレ効果を上げる最適な回数を調べていきましょう!

なぜ限界まで追い込むことが大切なのか?

最初に筋肉を限界まで追い込むことが大切だと考えられているのにはいくつか理由があるようなので、それらを見ていきましょう。

理由①:モータユニットを100%使える

筋肉は何本もの筋繊維の集合でできていて、これらの繊維が収縮することで力が発揮できます。モータユニットとは一つの神経が支配する筋繊維の集まりのことで、力を発揮する筋繊維の最小単位になります。筋繊維が数百本〜数千本集まってモータユニットができていて、さらにこのモータユニット がいくつも集まって筋肉ができているという感じです。

筋肉の力の発揮のメカニズムは面白いもので、例えば50%の力を発揮するときには、全てのモータユニット が50%ずつ力を発揮するのではなく、半分のモータユニットだけが100%の力を発揮します。なので、残りの半分は実は活動していないんですね。

しかし、筋トレとしては全ての筋繊維を鍛えたいわけです。そこで重要になるのが回数で、回数をこなしていくと最初の方に使われたモータユニットは疲れてきて、代わりに新しいモータユニット が使われるようになります。そして限界まで追い込むと全てのモータユニットが疲れ切る。つまり筋肉全体を100%鍛えられたというわけですね!

これが筋肉を限界まで追い込むことが大切だと考える一つの理由です。

理由②:タンパク同化ホルモンが多く出る

そして筋肉を限界まで追い込むことのもう一つの理由として考えられていたのが、タンパク同化ホルモンが多く出るということです。このホルモンはタンパク質の同化(吸収)を促進するもので、筋肉を成長させるのに大切な要素だと考えられているんですね。

限界まで追い込むことを疑問視する考え

一方で、限界まで追い込むことを疑問視する考えやデータもあってどんなものかというと、

  • モータユニットは限界まで追い込まなくても、限界の3〜5回手前ですでに100%動員できているというデータもある
  • 筋力の向上においてはタンパク同化ホルモンはそこまで重要じゃないという見解もある
  • 限界まで追い込むと次のセットの回数がガクッと減ってしまうので、全体の筋トレのボリュームを考えると逆効果にもなり得る

という感じで、限界まで追い込まないでも十分効果があるんじゃないかという見解もあるんですね。

また、これらに追加して

  • 限界まで追い込むトレーニングはハードなので、怪我やオーバートレーニングのリスクも上げてしまう

というリスク面からも限界まで追い込まない方が良いということを支持する人もいます。

追い込む方が良いのか?追い込まない方が良いのか?

それでは本題である「限界まで追い込むことには本当に効果があるのか?」の研究を見ていきましょう。

この研究では

  • 限界まで追い込む筋トレ
  • 回数を決めて少し余裕がある段階でやめる筋トレ

の2つをグループで”筋力の向上”を比較した8件の研究をメタ分析でまとめています。

総データ数としては199人が対象で、中にはトレーニングの初心者と熟練者の両方が含まれています。また、筋トレの種目としてはベンチプレスやスクワット、レッグエクステンション、ベントオーバーローなど様々です。

そして、結果としてわかったことは

  • 限界まで追い込まない方が0.6~1.3%だけ筋力の伸びが良かった!
    (限界回数:+22.8~22.9% vs 固定回数:+23.4~24.2%)
  • この効果は初心者や熟練者の両方で見られた
  • どの種目でも限界まで追い込まない方が良い結果になる傾向があった
  • 両方のグループでボリュームをコントロールした場合でもこの効果は確認された

ということです。

結果としては数%だけではありますが限界まで追い込まない方が効果が高いという結果となっています。限界まで追い込むと達成感や効いてる感があるので、これは意外な結果ですね。ちなみにこれは筋力の向上のみの比較ですので、筋量の向上についてはどちらが良いのかは、この研究からはわかりません。

まとめ

本稿では「筋トレは限界まで追い込む方が良いのか?」についがお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 筋トレは限界まで追い込まない方が筋力の向上が少し大きい!

ということです。

限界まで追い込まない方が良いということで、後1〜3回できそうなくらいで止めるのがちょうど良いのかもしれませんね。この方法だと怪我のリスクやトレーニングの辛さも軽減できるので、意外とそっちも嬉しいのではないでしょうか。

以上、それでは良い筋トレライフを!


[参考文献]

*1: Effect of Training Leading to Repetition Failure on Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする