長期的な選択をする人は、将来の自分と今の自分の連続性を感じているという研究

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お金を散財せずにコツコツ貯金したり、ゲームをしたくても将来のために勉強したりと、人生の成功のためには短期的な小さな利益を取るのでなく、長期的でより大きな利益を選択することが大切です。

しかし、目の前にある短期的な利益の誘惑はとてつもなく強いもので、ダイエット中についつい食べ過ぎてしまったり、スマホに夢中になって勉強ができなかったりという失敗が絶えません。長期的な選択を続けるというのは非常に難しいことなんですね。

そこで本稿では、

  • 長期的な選択をうまくできる人は、今の自分と将来の自分に連続性を感じているのでは?

ということ調べてくれた研究を見ていきたいと思います。

今の自分と将来の自分の連続性

今の自分と将来の自分の連続性とは、1年後や10年後の将来の自分は今の自分とつながっていて、重なり合う部分も多いと考えることです。これは下の図のようにイメージで理解すると分かりやすいです。

左の図が今の自分と将来の自分が近く重なり合っていて、今の自分と将来の自分は共通点が多いものだという認識になります。一方で、右側の図は今の自分と将来の自分が遠くて重なり合っていない状態で、将来の自分は今の自分から大きく変わっているイメージになります。この感覚は人によって違うもので、2つの円を描かせれば、人それぞれ円の距離が変わってくるでしょう。

実験:将来の連続性は選択を変えるのか?

スタンフォード大学の研究では、今の自分と将来の自分の連続性が、長期的な利益の選択に関係するのかを調べるために3つの実験を行っています。この実験で参加者は

  • 今すぐ10ドルもらうか、10日後に15ドルもらうか?

といった短期的な少ない利益と長期的なより大きな利益の選択を行っています。長期的な利益の選択の研究では定番の実験方法ですね。

それと一緒に、参加者の将来の連続性も測定していて、

  • 今の自分と将来の自分はどれだけ近いと思うか?
    (上図のような円で描いたときにどのくらい重なっているか?)

という測定したり、96個の人の特徴について

  • 今の自分は96個の特徴にそれぞれどのくらい当てはまるか?
  • 10年後の自分は96個の特徴にそれぞれどのくらい当てはまると思うか?

をそれぞれ測定して、その共通度合いを測定しています。

結果:

早速実験の結果を見てみると、

  • 今の自分と将来の自分を近くイメージした人ほど、長期的な選択を選びやすい傾向があった
  • 今の自分と将来の自分の特徴の重なりが大きい人ほど、長期的な選択を選びやすい傾向があった

ということ。想定の通りに、今の自分と将来の自分に連続性を強く感じている人ほど、短期的な誘惑に負けずに長期的な良い選択ができています。ダイエットでも勉強でも、「明日から頑張ろう」と先延ばしをしてしまいがちですが、それは「明日の自分も今日の自分と同じように頑張れないかも」と連続性を感じられていないのかもしれませんね。

ちなみに、この研究の結果として他に分かったことは、

  • 将来の自分への気遣いや、将来の自分が好きであるかは、長期的な選択の選びやすさとは関係がなかった

ということ。大切なのは連続性で、今の自分の行動が将来の自分につながっているという時間のつながりを認識することが大切みたいですね。

まとめ

本稿では「今の自分と将来の自分の連続性」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 今の自分と将来の自分に連続性(多くの共通点やつながり)を感じている人ほど、短期的な誘惑に負けずに、長期的な良い選択をしやすい

ということ。

お金をコツコツと貯金できる人も、毎月これだけ貯金すれば5年後にはこれくらいの金額になるみたいに、時間のつながりをしっかり認識できていますよね。同じように、将来の目指す自分になるために、今の自分に毎日何を貯金していくのか?を考えれば、良い選択も増えていくのではないでしょうか。

ただし、先延ばし癖など、自分の悪い面も急には直らずに連続で続いていってしまうものなので、将来に楽観的に期待し過ぎるのにも注意しましょう。5年後も今のまま成長できてない姿をイメージしてみると、もっと頑張らなきゃという気持ちも湧いてきますよね。

以上、本稿はここまで。

[参考文献]

*1 : Don’t stop thinking about tomorrow: Individual differences in future self-continuity account for saving

Naoto

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