熟考をIf-Thenプランニングすると、計画の修正がうまくなるテクニック

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物事を円滑に進めるには事前に計画を立てることが大切です。しかし、不確実性の高い環境であったり、変化の激しい環境の場合には、最初に立てた計画がうまくいかないことがほとんど。そこで臨機応変に計画を修正していく力が必要になります。

しかし、これには心理学的に2つほど壁があって

  • 損失回避バイアス
    人は利益を得ることよりも、損失を避けることを優先するバイアスがある。そのため、最初に立てた計画がうまくいかない場合でも、その計画をボツにして損失として確定させることに強い抵抗感を感じてしまう。
  • 自己正当化バイアス
    人は客観的に情報を扱うのが苦手で、自分の考えに反する情報は避け、自分の考えを正当化する情報ばかりを求めてしまう。そのため、状況が変化して最初の計画がうまくいかない兆しが見えても、それに目をつむって、うまくいっている部分のみに注目してしまう

これらの壁が計画の修正を妨げてしまうんですね。

そこで本稿では

  • あらかじめ熟考をIf-Thenプランニングしておけば、計画の軌道修正がうまくなるのでは?

をいうことを実験してくれた研究を見てみましょう。

熟考のIf-Thenプランニング

If-Thenプランニングとは習慣化のテクニックの一つで、「もし〇〇になったら、〇〇を行う」という形式で、あるトリガーを起点に行動を実施するように計画することです。

例えば、

  • ダイエット中にお菓子を食べたくなったら、代わりにフルーツを食べる
  • 通勤電車に乗ったら、英単語帳で英語の勉強する
  • 会社でストレスを感じたら、ジョギングでストレス発散する

といった感じで、行動をトリガーとセットにすることがポイントです。

それで熟考のIf-Thenプランニングがどういうものかというと

  • 計画に対する新しい情報や悪い情報が出てきたら、計画の軌道修正について熟考する

というふうに、計画の修正をあらかじめプランニングしておくことです。それだけかと思うかもしれませんが、If-Thenプランニングは習慣化のテクニックとして効果が高いもの。なので、熟考がしっかりと行動として実施される確率が向上し、続けていけば習慣として自然とできるようになることが期待できるんですね。

実験:熟考のIf-Thenプランニングは効果があるのか?

コンスタンツ大学の研究では、2種類のタスクを使って熟考のIf-Thenプランニングの効果を測定しています。

  • 投資タスク
    会社のファイナンスの担当者となって、民生製品と工業製品のどちらにお金を投資するのかを選択するタスク。途中で投資先の製品の売り上げが悪化していると悪いフィードバックがあったときに、投資先を変えることができるかが試される
  • ポーカータスク
    コンピューター相手に1体1のテキサスホールデムのポーカーを実施するタスク。このポーカーではお互いにプレイヤーは2枚のカードを持ち、共有カードが5枚が裏返しで見えないようになっている。共有カードが順番に表にされていったときに、自分の勝算を更新して、賭けにいかない判断ができるかが試される。

どちらのタスクでも、半分の人は熟考のIf-Thenプランニングを行っていて、

  • 自分の最初の計画がうまくいかなかったときに、熟考している姿をイメージする
  • ”状況が悪化した時は、熟考する”と3回書き出す

という作業で、If-Thenプランニングへの意識を高めています。

結果:

早速結果を見てみると、熟考のIf-Thenプランニングをした人に見られた効果として

  • 投資タスクの判断でネガティブなフィードバックをもらった時に、投資先を変更する確率が高まっていた
  • ポーカータスクで自分が勝つ確率が低いときほど、うまく賭けを避けられるようになっていた
  • ポーカータスクで状況が好ましくないときに、考える時間が長くなって、しっかりと熟考していた

ということ。

熟考のIf-Thenプランニングはしっかりと効果が出ていて、自分にとって好ましくない情報を受け入れて、状況にあった計画修正ができるようになっています。勉強の成果がうまくいかないときは、勉強方法を見直してみたり。仕事の成果が出ないときは、ゼロベースで進め方を考え直してみたり。熟考のIf-Thenプランニングは有効活用すれば、様々な場面で活躍しそうですね。

まとめ

本稿では「熟考のIf-Thenプランニング」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 損失回避バイアスと自己正当化バイアスのために、状況が変わっても最初に立てた計画を続けてしまうことがある
  • 状況が悪化したときや新しい情報が手に入ったときに、”熟考”することを計画しておくと、臨機応変に計画を軌道修正できるようになる

ということ。

ダイエットの計画を立てるなら、「計画通りのペースで体重が減らなかったときは、ダイエット方法について熟考しよう」みたいに、If-thenプランニングに具体性を持たせるとより実行がしやすいでしょう。人は計画を楽観的に立ててしまう傾向もあるので、無理な計画だと気がついたら、熟考して実績に基づいて再計画しなおしましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Planning to deliberate thoroughly: If-then planned deliberation increases the adjustment of decisions to newly available information

Naoto

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