関係ないことが頭に浮かんで集中できないときは、状況を細かく変えると良いという研究
目の前の仕事や勉強に集中しなければいけないのに、どうしても他のことが頭に浮かんでしまうことがあります。
- 「お腹が空いたなあ、早くお昼にならないかな」と気が散ってしまう
- 「手がついていない仕事も早く終わらせないとな」と将来の心配が頭から離れない
- 「あのときこうしていればよかった」と過去のことを何度も思い返してしまう
と、頭の中では色々な思考が飛び交ってしまうものですよね。
こうした状態はマインドワンダリングと言われていて、パフォーマンスの低下や幸福感の低下など、あまりよくない状態であることがわかっています。
そこで本稿では、
- 状況の変化がないときほど、退屈でマインドワンダリングが起こってしまうのでは?
という点を調べてくれた研究を見ていきましょう。
状況の変化とマインドワンダリング
ノートルダム大学らの研究では、108人の参加者を対象に、どんなときにマインドワンダリングが起こりやすいのかの実験を行っています。どんな実験かというと、30分ほどの映像を見てもらって、その中で映像に関係ないことを考えてしまったタイミングを記録するというもの。
この映像は主人公がバルーンに乗って旅をするもので、場面が次々と変わります。この実験ではこの特徴を利用して、
- 場面の変化が少ないときほど、マインドワンダリングが起きやすいのではないか?
ということを5秒刻みで分析したんですね。
さらに、
- 事前にストーリーを知っているとマインドワンダリングが起きやすいのではないか?
という点も分析するために、半分の人には事前にストーリーを本で読んでもらっています。
結果:場面の変化とマインドワンダリング
実験の結果を見てみると
- 場面が変化するタイミングの前後では、マインドワンダリングが約20%ほど減った
ということ。
状況が変わると、新しい刺激があったり、それに合わせて頭を切り替えたりしなければいけないので、自然と映像の方へ集中力が向くのでしょう。学校の勉強でも同じことがずっと続くと退屈になってしまいますよね。それと同じで、集中力を回復したい時は、状況をリフレッシュすると良さそうです。
結果2:事前にストーリーを知っている場合
続いて、事前にストーリーを知っている場合に結果を見てみると、
- 事前にストーリーを知っていても、特に有意な違いはなく、場面の変化でマインドワンダリングは減った
ということ。
つまり、予期していない状況の変化だけでなく、あらかじめ計画されて分かっている状況の変化でも、同じようにマインドワンダリングの低減効果が得られる可能性あるわけですね。なので、自ら細かく状況を変えるような計画を立ててみるのも良いかもしれません。
まとめ
本稿では「状況の変化とマインドワンダリング」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 状況の変化が少ないとマインドワンダリングが増えてしまう
- 状況の変化を作れば、事前にそれを知っていてもマインドワンダリングは減る
ということ。
「集中力がもたなくなってきたら、状況を変えてリフレッシュする」が今回の研究のポイント。
ただし、あまり細かく状況を変えすぎても、どれもが中途半端になってパフォーマンスが低下してしまうかもしれません。なので、午前中の集中力が高いときは、一つのことに集中して取り組む。午後に疲れて集中できなくなってきたら、あまり集中力がいらない細かいタスクをこなす、といった使い分けも良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Driven to Distraction: A Lack of Change Gives Rise to Mind Wandering