短時間でも超健康に良いHIITは、心の健康も向上するのか?
HIITとは強度の高い運動を休憩を挟んで短時間で行う方法のこと。
普通の有酸素運動だと、ジョギング30分とか、エアロバイク30分とか、ちょうど気持ちが良い負荷をある程度長時間続けるイメージ。
それに対してHIIT(高強度インターバルトレーニング)では、30秒全力ダッシュ+30秒休憩を10セットみたいに、全力レベルの高強度な運動を休憩を挟んで短時間だけ行います。
それではHIITの健康効果がどうかというと、実は短時間ながらもHIITには通常の有酸素運動と同様に健康を高める効果があることが知られています。運動としてはちょっとキツくなりますが、短時間で済むので時短になって良いですね。
そこで本稿では、このHIITの効果について
- HIITはメンタルの健康(不安やうつ、幸福感、ストレス)の改善にも効くのか?
を調べてくれた研究を見ていきたいと思います。
HIITのメンタル改善効果はあるのか?
一般的に運動にはメンタルの改善効果があることが知られています。ジョギングしてストレスを発散したり、ヨガで精神を落ち着けたりと、運動はメンタルを前向きにしてくれます。
それではHIITはどうなのか? HIITは十分な運動強度はあるものの、運動時間としては短くなってしまう点が、もしかするとメンタルの改善を妨げてしまうかもしれません。
そこでキングス・カレッジ・ロンドンらの大学の研究では、HIITを実践したときのメンタルの変化を調べた研究53件をメタ分析でまとめています。
これらの研究でのHIITの実践方法は
- 実験期間は単発の運動から最大10ヶ月の継続運動まで様々
- HIITの頻度も週に1回〜5回で研究によりけり
- 運動時間は最短で10分で長いもので75分
- 運動の種類は一番多いのがランニングで、それ以外にもボクシングや筋トレなど様々
となっています。
これらの実験方法の違いから、メンタルをうまく改善できるHIITのコツまで分析できるわけですね。
結果:HIITをメンタル改善
それでは、メタ分析の結果を見てみましょう。
- HIITを実践すると、幸福感が向上していた
(しかも、幸福感の向上は他の運動よりもHIITの方が効果が少し高かった) - HIITを実践すると、うつが改善していた
- HIITを実践すると、ストレスが低減していた
逆に効果がなかった項目も見てみると
- HIITを実践しても、不安は軽減していなかった
となっています。
不安に関しては効果がなかったようですが、総じて見ればHIITでも十分にメンタルは改善していると言えますね。
結果2:HIITの実践方法のコツ
続いて、より効果が高かったHIITの実践方法の分析結果を見てみましょう。
- 7週間以上続けると、幸福感の向上がより大きくなった
- 週に2回以上行わないと、ストレスの低減効果は得られなかった
ポイントとしては頻度を高めて長く続けるといったところでしょうか。運動の種類や1回の運動時間については、特に有意な関係は見つかっていません。なので、1回の運動時間を短めにして続けやすい形にするのが良いかもしれませんね。
まとめ
本稿では「HIITでメンタルも改善するのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- HIITでもメンタルは改善し、幸福感の向上、うつの低減、ストレスの低減などの効果が得られる
- これらの効果を最大限得るには、週に2回以上のHIITを7週間以上続けるとよい
ということ。
HIITは体の健康にも心の健康にも良いということで、時短で済ませたい人はHIITを習慣にすると良いのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Can high intensity interval training improve mental health outcomes in the general population and those with physical illnesses? A systematic review and meta-analysis of 53 randomized controlled trials