ポジティブ・シンキングは自分事で考えないと幸福感が上がらないという研究

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ポジティブに考えることは幸せにとって大切なこと。将来ポジティブな出来事が起こるはずだという期待が大きいほど、幸福感が向上するんですね。

しかし、思い浮かぶ将来のポジティブな出来事は人それぞれで

  • 10年後にはもっと給料が上がっているだろう
  • 将来は親の言う通り良い大学に入っているだろう
  • 将来はもっと自分の好きな仕事をしたい
  • 3年後には結婚して子供もいるどう

など様々です。

ロンドン大学の研究(*1)では、

  • 将来のポジティブな出来事を、自分事として考えているか、他人事で考えているかで、幸福感の上がり方が違うのでは?

と言うことを調べてくれています。本稿ではこの研究を参考に、ポジティブシンキングで幸福感を上げるために外せないポイントを学んでいきましょう。

ポジティブな出来事の自分毎・他人事

将来のポジティブな出来事を自分事で考えるとは、

  • 自分自身がやりたいと思っているポジティブな出来事
  • 自分独自のポジティブな経験

が将来実現すると考えることです。他の人にとっては幸せだと思えない出来事でも、自分が幸せだと思えるなら、それは自分事でのポジティブな出来事なわけですね。

一方で、将来のポジティブな出来事を他人事で考えるとは、

  • 親が言うからいい大学に入ろう
  • 世間一般的に結婚した方がいい年齢だから、結婚した方が幸せだろう
  • 幸せな経験が何かと聞かれたら、他の人だったらこう言う答えをするだろう

みたいな他人の視点で将来を考えることです。

本当の幸せを掴むには、周りの目を気にするよりも、自分らしい幸せを追求する方が大切。なので、将来のポジティブな出来事を自分事として考えられていないと、幸福感は向上しないと考えられるわけですね。

実験:幸福な人ほど自分事のポジティブ・シンキングが得意なのか?

ロンドン大学の研究では、自分事と他人事のポジティブ・シンキングの影響を実験により調べています。どのような実験かというと、

  • 84人の参加者に1週間後、1年後、5年〜10年後のポジティブな将来についてそれぞれ答えてもらうタスクを実施
  • 半分の人には、自分にとってのポジティブな出来事について、1分間でどれだけ多く答えられるかを測定
  • もう半分の人には、他人にとってポジティブな出来事について、1分間でどれだけ多く答えられるかを測定
  • 幸福感が高い人と低い人で、自分事のポジティブな出来事の数と、他人事のポジティブな出来事の数にどのように差が出るのかを分析

という感じです。

結果:

早速分析結果を見てみると、

  • 幸福感が高い人ほど、自分にとってのポジティブな出来事をすらすらと多く答えた
  • 他人にとってのポジティブな出来事を答えた数は、幸福感が高い人と低い人で差が出なかった
  • 自分事と他人事の両方に共通するポジティブな出来事も、幸福感が高い人と低い人で差が出なかった

ということ。

なので、幸福感の向上につながるのは、自分事のポジティブな将来のみになっていて、ポジティブ・シンキングをするなら自分事で考えなければ効果も期待できないわけですね。

参考:ネガティブな人の特徴

この研究では、自殺未遂をしたことがある人の臨床サンプルでも同様の結果が得られるのかも実験しています。その結果を見てみると、

  • 自殺未遂をした人は、自分事のポジティブな将来の数が少なかった
  • 自殺未遂をした人でも、他人事のポジティブな将来は同じ数答えられた
  • 自分と他人に共通するポジティブな将来は、自殺未遂をした人では数少ない傾向があった

と言うこと。

実験1と同じように、自殺未遂をしたネガティブなメンタルの人は、自分事のポジティブな将来を考えるのが苦手という結果が得られています。世間一般的な幸せは分かっていても、自分らしい幸せを見つけられていないのかもしれませんね。

まとめ

本稿では「自分事と他人事のポジティブ・シンキングの違い」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 幸福感が高い人ほど、自分独自の幸せな将来を想像するのが上手い
  • 他人の考える幸せを想像する能力は、幸福感が高い人でも低い人でも変わらない
  • なので、ポジティブ・シンキングで幸福感を上げるには、自分らしいポジティブな将来を考えることが大切

ということ。

お金持ちになるとか、出世するとか、世間一般で思われている幸せは、ポジティブ・シンキングしても幸福感は上がらないようです。なので、ポジティブ・シンキングするときは、他人の目は気にせずに、自分らしい幸せが何かを考えるようにしましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Well-being and positive future thinking for the self versus others

Naoto

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