仕事のネガティブな感情は、年齢が高くほど対処が上手くなるのか?の研究

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仕事を行っていると、人間関係で嫌なことがあったり、システムのトラブルでムカついたりと、ネガティブな出来事は何かしら起きてしまうものです。ネガティブな出来事はできるだけ減らすことも大切ですが、ゼロにすることできません。そのため自分でネガティブな感情に上手く対処する能力を身につけることも大切になってきます。

この点について、仕事のネガティブな出来事と感情の対処方法を調べたフローニンゲン大学の研究(*1)では

  • 仕事の出来事のタイプによって、それを受けた人がネガティブな感情をどう対処するのかの傾向も変わるのでは?
  • 年齢が高い人ほど感情のコントロールが身についていて、ネガティブな出来事に上手く対処できているのでは?

ということを調べてくれていました。本稿ではこの研究を参考に、どのような仕事の出来事があった時に、人はうまく対処できずに感情的に落ち込んでしまうのかを見てみましょう。

ネガティブ感情の4つの対処法

まず最初に、この研究では、ネガティブな感情の対処法として、次の4つの方法を取り上げています。

  • ①解釈を変える
    ネガティブな感情をポジティブな意味で捉え直す対処法。例えば、「この出来事も良い経験となって将来役に立つはずだ」と考えるとか。
  • ②気を逸らす
    ネガティブな感情から気を逸らして、他のことに集中する方法。何も考えなくて良いように仕事に没頭とか、気晴らしに遊びに行くとか。
  • ③受け入れる
    ネガティブな感情を感じていることを良いことだとも悪いことだとも判断せずに、ありのままに感情を受け入れる対処法。
  • ④押さえつける
    ネガティブな感情を自分の中で抑制しようとする方法。ただし、押さえつけようとネガティブな感情に注目することで、逆にネガティブな感情が大きくなってしまうこともある。

最後の感情を押さえつけようとする方法は逆効果にもなりやすく、上手な感情の対処法ではありません。解釈を変えるや受け入れるは、ネガティブな感情をうまく低減できる効果が確認されていて、上手な感情の対処法だと言えます。

仕事の出来事と感情の対処法

フローニンゲン大学の研究では、仕事の出来事と感情の対処法の傾向を調べるために、

  • 年齢は何歳か?
  • 1日の仕事の満足感はどのくらいだったか?
  • 1日の中でどんなネガティブな出来事があって、それにどう対処したのか?

といった指標を3週間にわたって追跡調査しています。

このときに仕事の出来事の特徴としては

  • ネガティブ感情の強さ
    ネガティブな出来事がどれだけ強い感情を引き起こしているか?
  • 出来事のコントロール
    自分で出来事をコントロールして解決できるか?
  • 対人関係
    出来事が自分だけの問題でなく、他人も関係する問題か?

の3つが測定されています。

最終的にこの研究では

  • 仕事で起きるネガティブな出来事の3つの特徴に応じて、人は4つの感情の対処法のどれを選びやすいのか?
  • その傾向には年齢による差が出るのか?

ということを分析しています。

結果:出来事の特徴とネガティブ感情の対処法

早速結果を見てみると、

  • ネガティブな感情が強い出来事ほど、「解釈を変える」「受け入れる」が少なく、「気を逸らす」「押さえつける」をとってしまいがちだった
  • 自分でコントロールできない出来事では、「押さえつける」が増えやすく、その結果として心理的な疲労感が高まりやすかった
  • 人間関係の問題では、「解釈を変える」「押さえつける」を多く、「受け入れる」は少ない傾向があった

ということ。

強いネガティブな感情が伴う出来事や、自分でコントロールできない出来事では、感情の対処がうまくできなくなってしまう傾向があるようです。この2点は感情的に落ち込みやすい落とし穴なので、こういった状況では冷静に感情に対処するように心がけると良さそうですね。

結果2:年齢の影響とは?

次に年齢により感情の対処の違いを見てみると

  • 年齢が高い人は、ネガティブな感情が強いときでも、いつもと同じように感情に対処できる安定感があった
  • 年齢が低い人は、ネガティブな感情が強くなると、感情を押さえつけようとしてしまう傾向があり、感情が不安定になりやすかった

ということ。

やはり、年齢を重ねると感情のコントロールが上手くなって安定していくみたいですね。人間関係の出来事とコントロールできない出来事では、年齢による対処の差はないということ。なので、若い人は強いネガティブな感情を感じたときに特に注意しましょう。

まとめ

本稿では「ネガティブな仕事の出来事と感情の対処法」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 自分でコントロールできない出来事や、強いネガティブな感情を伴う出来事では、感情の対処が下手になって無理に押さえつけようとしてしまう傾向があるので注意しよう。
  • 年齢が高くなると感情のコントロールも安定してきて、強いネガティブな出来事でも、いつもと同じように対処できるようになる

ということ。

仕事をしているとどうしても嫌な出来事は起きてしまうものです。自分でコントロールできない出来事や、強いネガティブな出来事は、特に対処に困りやすいので、事前に対処法を決めておくなど心の準備をしておくと良いでしょう。

以上、本稿はここまで。

[参考文献]

*1 : Age and Context Effects in Daily Emotion Regulation and Well-Being at Work

Naoto

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