強度の高い運動の方が、コロナの不安が大きく低減されるのか?の研究

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コロナの影響により、リモートワークで職場に出社する必要がなくなったり、買い物以外の不要不急の外出が制限されたりと、家の中に閉じこもることが多くなりました。家の中でじっとしているのは長く続くと退屈なもので、意外とストレスが溜まったり、気分が落ち込んだりするもの。コロナの影響はこうしたメンタル面の低下も懸念がされます。

そして、メンタルの低下を改善するのには運動が効くということは様々な研究により分かっています。その中でも本稿で注目するのはHIIT(高強度インターバルトレーニング)という運動方法。エストレマドゥーラ大学の研究では

  • 普通の運動とHIITの運動ではどちらの方がコロナ禍での不安や憂鬱を軽減してくれるのか?

を調べてくれていましたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。

HIITとは何か?

まず最初のHIIT(高強度インターバルトレーニング)がどんなものかというと、短時間の高強度の運動と、短時間の休憩を交互に繰り返す運動方法になります。HIITの実践方法の例を挙げると

  • 20秒全力で走る
  • 10秒休憩する

のセットを8回繰り返すといった感じですね。

HIITのポイントはその強度で、全力に近いレベルで運動をすることが大切。運動の種類はランニンングでも、サイクリングでも、スクワットでも好きなものでOK。また、運動と休憩の時間も20秒運動+10秒休憩とか、60秒運動+30秒休憩とか、細かな時間のバリエーションは割と自由です。

そしてHIITは運動時間が短い割に高い健康効果があることが知られています。全力に近い強度の運動をすると、アフターバーンと言って、運動後にも脂肪が燃焼し続けたりして、たった4分のHIITでも20分の中程度の運動に相当したりするんですね。

HIITと不安の改善効果

それでエストレマドゥーラ大学が調べてくれたのは

  • HIITは、コロナ禍での不安の軽減のようなメンタル改善も通常の運動よりも効果が高いのか?

ということを実験しています。

この実験ではスペインでコロナの緊急事態宣言が発令されているときに、76人の参加者を次の二つのグループに分けて、運動期間の前後でどれだけ不安や憂鬱が改善されるのかを比較しています。

  • HIITグループ
    運動の辛さを10をマックスにしたときに、7〜9まで追い込む高負荷の運動を行う。
    運動は腕立て伏せ、スクワット、スプリッツ、デッドリフトといった種目
    1セットは運動30〜90秒と休憩15〜60秒で、合計10〜12セット行う
  • MITグループ
    運動の辛さを10をマックスにしたときに、4〜6の中程度の負荷の運動を行う。
    運動はボクシングスクワット、ジャンピングジャック、スキップ、スケーター、クライマーといった種目
    1セットは運動6〜8分と休憩1〜2分で、合計3〜4セット行う

どちらのグループも運動の種目は自重トレーニングになっていて、コロナ禍でも家でできる運動が選ばれていますね。運動の期間は6週間で、この間は週6回の運動を実施しています。

結果:HIITと不安や憂鬱の軽減

早速結果を見てみると、それぞれの運動方法の効果量は次の表のようになっています。

HIITMIT
不安0.4080.381
憂鬱0.693 *0.434
ストレス0.6970.445
レジリエンス0.3270.514

この表からわかることをざっとまとめると、

  • HIITでもMITでも不安や憂鬱の改善効果は得られる
  • 憂鬱の改善効果は、HIITの方が統計的に有意に効果が大きいという結果が得られた

ということ。

HIITは少ない運動時間ながら高い健康効果が確認されていましたが、それは一部のメンタル面の改善でも同じようだということが分かったわけですね。

まとめ

本稿では「HIITでコロナの不安が低減」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 運動は不安や憂鬱といったネガティブなメンタルを改善するのに役立つ
  • 特に高強度のHIITは、中程度の運動よりも憂鬱の改善効果が大きい

ということ。

HIITはスクワットのような家でもできる運動で実践できるのが嬉しいところ。コロナで家に引きこもってもやもやしてきたら、HIITで全力運動をして不安や憂鬱を解消してみましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Effects of High-Intensity Interval Training and Moderate-Intensity Training on Stress, Depression, Anxiety, and Resilience in Healthy Adults During Coronavirus Disease 2019 Confinement: A Randomized Controlled Trial

Naoto

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