自己効力感は習慣の定着にも役に立つのか?

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自己効力感とは、自分は状況に応じてうまく行動できると感じていて、その結果成功できる見込みを感じていることです。自己効力感が低い人は、困難な状況などに陥ると、自分ではもうダメだと感じで、その目標を諦めてしまうわけですね。もちろん、同じ人の中でも、勉強系のことならなんでもできそうだけど、スポーツはからっきしダメみたいに、分野によって自己効力感がばらつくこともあります。

それで、本稿で注目するのは

  • 自己効力感が高いほど、習慣も定着しやすいのか?

ということ。新しい習慣を身につけるときには、めんどくさいとか、気分が乗らないとか、色々と挫折しそうなシチュエーションに出くわします。そんなときに自己効力感が高ければ、諦めずに習慣の行動を継続できる可能性があるわけですね。

自己効力感と習慣の定着

ビーレフェルト大学の研究では、この自己効力感と習慣の形成の関係を実験で確かめています。この研究では、265人を対象に、新しい習慣の形成に6週間挑戦したもらっています。習慣の行動は人それぞれで、腕立てや瞑想、ブログを書くなど自分の好きなものを選んでいます。

そして習慣の形成と自己効力感に関するデータとして

  • 習慣行動がどれだけ自動的になっているか?
  • 習慣として選んだ行動への自己効力感はどれだけ高いか?
  • 習慣の行動への阻害がどれだけあるか?
    (気分が乗らないとか、他のことが頭に浮かんでしまうとか)

といったものが測定されています。

結果:自己効力感で習慣は定着しやすくなるのか?

早速結果を見てみると、

  • 自己効力感が高い人ほど、習慣の行動が自動化しやすく、習慣が早く形成されていた
  • 自己効力感が高い人ほど、習慣行動への阻害が少なかった

ということ。

やはり、行動への自己効力感が高いほど、その行動が習慣として定着しやすいという結果が得られています。自己効力感が高い人ほど、習慣の阻害が少ないということで、自己効力感が高ければ、そもそもやる気が起きなかったり、他のことに手を出してしまったりすることが少ないわけですね。

結果2:習慣が自己効力感を作る?

もう一つこの実験から面白いことがわかっていて、

  • 行動を繰り返して習慣として定着していくほど、その行動への自己効力感も高まっていった

ということ。

つまり、自己効力感が習慣の形成を助け、習慣の形成が自己効力感を高めるという、プラスのループになっているわけです。

今回の研究を実際に習慣の形成に役立てるのであれば、

  • これなら続けられそうと自己効力感を高く感じるくらい行動を設定する
    (最初からハードルを上げすぎて自己効力感を損なわないようにする)
  • 習慣として定着してきたら徐々に行動のレベルを上げていく

ということが有効そうですね。

まとめ

本稿では「自己効力感と習慣の形成」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 自己効力感が高いほど、習慣行動の阻害が少なくなり、習慣として定着しやすくなる
  • 逆に習慣の形成は自己効力感を高めるので、自己効力感と習慣はお互いを高め合うプラスのループになっている

ということ。

自己効力感を高めるには、成功するイメージをしたり、成功した他者の経験を見たり、他人から褒めてもらったりすることも有効です。目標は理想を頼りに決めてしまうと、いずれ挫折することになるので、自分のレベルに合わせて、ちゃんと実践できるレベルにしましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Self-Efficacy in Habit Building: How General and Habit-Specific Self-Efficacy Influence Behavioral Automatization and Motivational Interference

Naoto

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